株式会社アトリエ・ヌック建築事務所
勝見 紀子

新築や改修の計画を進める際、建物の解体を伴うことがしばしばです。
多くの場合、建て主さんが長らく暮らした住まいで、思案の末に取り壊すことを決めた建物です。
建物自体は無くなる運命でも、使われているひとつひとつの部材は、傷みの程度が浅くまだまだ活躍してくれそうなものが少なくありません。

なかでも年月を経てきた古い建物ほど、そういった部材に目が行きます。
建て主さんが思い入れを話されて、何とか生かしたいと要望される場合は喜んで使い道を考えます。
私が一目ぼれし、設計に取り入れる提案をさせていただくこともあります。

古いものを使うことに、価値や魅力を感じるのはどういうことなのか

・「MOTTAINAI!」心を満たす

・大事に使ってきた思い出、愛着

・懐かしく郷愁を感じるデザイン

・記憶を次の世代に伝える

・今は手に入りにくい貴重な材質

・石油由来の生成品ではない本物の材料

・職人の手仕事によりつくられたもの

・長い年月を耐えてきた、丈夫さ堅牢さ

・歴史の評価の定まったものへの安心感

古いものを残すこと生かすことの意味が、とても腑に落ちますね。
建物自体を残すことはできない状況にあっても、ささやかですがサスティナブルな社会づくりの一端となる取り組みだと思っています。

祖父母の家の障子や欄間を活かす

昭和のはじめに建てられた建物を、孫の世代が建て替えた際に、座敷の書院障子と欄間を取り置いて再使用しました。

 

ケヤキがふんだんに使われたお父様自慢の家の材料をリユース

 お父様自慢のケヤキがふんだんに使われた家の地板や幕板・框など鳥は図、加工して、様々な造作に仕立て直しました。

地板をはぎ合わせて、カウンターテーブルに

 

上り框を加工して、階段手摺に

 

柱を割いてはぎ合わせて、引出し前板に

 

端材を加工して、スプーンに

 

解体するお家の雪見障子が別の家族のお家でリユース

ある住まいの建て替え計画で使われる当てのなかった雪見障子は、別の家族がもらい受け、吹き抜けの建具として再使用できた幸福な事例です。

昔のお家の趣あるガラスを、新しい住まいの引き戸にリユース

昔のお家の木製の窓に使われていたガラスを、内部の引き戸にはめ込みました。
趣のある型ガラスは、手軽に行えるリユースできる古材です。

懐かしいデザインの洗面ボウルをリユース

40年使った愛着ある洗面ボウルを新しい家でも使用することに。
往時はどこでも見られた普及品だったものが、新しい住まいでおしゃれなパーツに。