アトリエ ヌック・勝見紀子

部屋の間取りを考えるときに、広さや形、部屋同士のつながり、日当たりや動線を考えますが、このことは建物を敷地に配置する際にも必要な視点です。
 道路に面するどこに出入口を取るか、人の出入り・車の出入りはどこが好都合か、庭の位置や形など、人の生活は家の中だけで完結するものではないだけに、つながりがとても重要です。建物の輪郭がつくる敷地の余白が、家の間取りとうまく連動してこそよい住まいとなります。 敷地自体の変形や高低、隣地や道路の状況、日照や通風などの環境要因など、その土地が持っている性質や制約は、変えることのできない絶対条件です。
その性質・制約をしっかりと把握し、欠点を補い良さを生かすのが敷地を間取るということです。

建物を西側に寄せたことで得られた明るい居間

 この事例の住まいの敷地は、三角形、道路との高低差60cm、南側に隣家が迫るという、けして好条件とは言えない土地でした。
長年暮らしてきた住まいは日当たりも風通しも芳しくなく、住み手は「土地が悪いから仕方がない」と諦めの境地でしたが、建て替え後は見違えるように改善しました。 道路と接する長さを生かし駐車スペースを日当たりの悪い所に置き換え、敷地の高低差を取り込んでスキップフロアを採用、平屋部分を敷地の形に馴染むホームベース型にすなど、配置計画に工夫を凝らしました。
 計画段階では、出入口の位置など、前の住まいとの違いを不安視していた建主さんでしたが、「同じ敷地に建て替えたとは思えないほど、快適で使いやすくなりました」との感想をいただきました。
 居間は南向きに、玄関は道にまっすぐに向ける、部屋は四角くなどの先入観を一旦取り払い、土地の特性に柔軟に向き合うことで得た、敷地と建物の「間取り」でした。

日照を望める西側を活かした外観