株式会社アトリエ・ヌック建築事務所
勝見 紀子

新築や改修の計画を進める際、建物の解体を伴うことがしばしばです。
多くの場合、建て主さんが長らく暮らした住まいで、思案の末に取り壊すことを決めた建物です。
建物自体は無くなる運命でも、使われているひとつひとつの部材は、傷みの程度が浅くまだまだ活躍してくれそうなものが少なくありません。
なかでも年月を経てきた古い建物ほど、そういった部材に目が行きます。
建て主さんが思い入れを話されて、何とか生かしたいと要望される場合は喜んで使い道を考えます。
私が一目ぼれし、設計に取り入れる提案をさせていただくこともあります。
古いものを使うことに、価値や魅力を感じるのはどういうことなのか
・「MOTTAINAI!」心を満たす
・大事に使ってきた思い出、愛着
・懐かしく郷愁を感じるデザイン
・記憶を次の世代に伝える
・今は手に入りにくい貴重な材質
・石油由来の生成品ではない本物の材料
・職人の手仕事によりつくられたもの
・長い年月を耐えてきた、丈夫さ堅牢さ
・歴史の評価の定まったものへの安心感
古いものを残すこと生かすことの意味が、とても腑に落ちますね。
建物自体を残すことはできない状況にあっても、ささやかですがサスティナブルな社会づくりの一端となる取り組みだと思っています。