だいすきだから、究める。

木の家コラム

階段の手すり・・安全にそして楽しく

公開日: 最終更新日:

階段の手すりについて、いくつかの思い出があります。ひとつは、子供がまだ、小学校に入る前の頃、知り合いの建築家が設計した内外コンクリート打ち放しのギャラリーに行ったことがあります。高い天井のホールに打ち放しの階段が壁から片持ちで取り付いていました。後日、その建築家にお会いした時に子供と一緒に行った話をしたら、困った顔で笑いながら子供は連れて行かないでと言われました。手すりの無い階段でした。

 

階段の機能のひとつが転落の防止です。吹き抜けに設けられた階段だと、落差が大きいのでこれが無いと大変危険です。また、階段は片足ずつ昇降を繰り返すため、体のバランスが不安定になります。そのため、よろけた時に手を掛ける部材として手すりが必要になります。

平らな床面とは違い、階段は一段踏み外すと次々に滑り落ちる可能性があります。その時にとっさに握ることが出来なければなりません。加えて、高齢者や障害者などが昇降の際、補助としてしっかり握れることが必須です。

H邸(法改正前に竣工)の手すり
S邸(法改正後に竣工)の手すり

20年ぐらい前に面白い記事を読んだ記憶があります。自邸を設計した建築家が、その住宅で大きな建築の賞を受賞しました。テーマのひとつが特徴ある階段でしたが、平成12年の法改正で階段への手すりが完全義務化され、主催者のから階段には手すりを付けて欲しいとの注文がありました。やはり手すりの無い階段でした。設計者は辞退することも考えて悩んだようですが、結局設置して受賞しました。

 

階段自体はデザインによって、水平と垂直だけの構成で設計することも出来ますが、階段の手すりは上記の機能を考えると、そういう訳にはいきません。どうしても斜めの線が出てきます。それが第三の要素となって、邪魔になる場合もありますが、空間に動きやリズムを与えることも出来ます。加えて手摺子や親柱の装飾などで趣きのある階段にすることも。

U邸の手すり、親柱と手摺子
N小学校の手すり

住宅ではありませんが、小学校の階段の手すりを設計したことがあります。高さが75㎝、5段の階段にノコギリをモチーフにした手すりを付けました。高さ1m以内では法的には必要のない手すりですが、図工や家庭科の特別教室を表現するサインを兼ねたデザインです。原寸図を描くにあたって自然な曲線にしたかったので、節の無い杉板を用意して、両側から押してもらい、そのたわみを図面に落とし込みました。そんな木材の利用方法もあるのでした。

この記事を書いた人

木の家コラム 一覧に戻る