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木の家コラム

御嵩町の庁舎木造化と森林信託

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木の家だいすきの会では、木造公共建築物の設計段階からの技術支援(林野庁助成事業)の一環で全国の市町村に派遣され相談にのっています。
今年は岐阜県御嵩町の木造庁舎の支援をすることになりました。

 

 

御嵩町は、森林県である岐阜県の森林地帯の南側の端に位置する人口約2万人の小さな町で、森林が町面積の約6割を占めます。
町有林を森林信託という方式で整備に着手していますが、渡邊公夫町長のねらいは、庁舎の木造化によって、町内の森林の整備をさらに推進することにあります。

森林信託というのは、所有権を一旦森林組合に移転し、森林組合が間伐し、用途に応じて分別し、出荷して整備費にあてるというものです。
これまで、「伐採して搬出したのでは赤字になってしまう」というのが森林所有者の常識だったため、希望する人がいないか、伐採後は森林内に放置する切り捨て間伐というのが実態でしたが、初年度から整備費をまかなっただけでなく町への信託配当も発生したため、森林所有者の関心も高まっているとのことでした。
現在では、当初の町有林だけでなく、隣接する民有林にも森林信託の区域が拡大しています。

成功の秘密は、町有林というまとまった面積を高性能機械で効率的に作業することができていること、間伐材の安定的な取引先を確保していること、やはりマネジメントの工夫にあります。
可茂森林組合の職員の方の、熱気をもって話す様子が印象的でした。

 

 

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