だいすきだから、究める。

木の家コラム

補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」が国土交通省より発表されました。

新築住宅、省エネ性能向上リフォームに利用できる補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」の創設が、発表されました。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、ZEHやGX志向型住宅の普及を推進し、省エネリフォームを強力にサポート。「脱炭素社会実現」に向けて性能基準をさらに強化された内容になっています。新築住宅、リフォームそれぞれどのような内容か、下記にご案内します。
2024年度の「子育てエコホーム支援事業」とは異なり、全ての世帯が対象になります。

自由にオリジナルキッチンをつくる

共働き家庭が増える中で様々な家事を家族で分担するすることが多くなった中でも、食事作りは男性女性関係なく担当するご家庭が増えています。家づくりを考える時にキッチンは奥様主導というケースが今までは多かったですが、最近はご夫婦が同じくらいキッチンに立つケースが増え、誰が使っても使いやすい、複数人が同時に調理することもできる、そんなキッチンが求められるケースが多くなりました。キッチンにはI型、L型、対面型、アイランド型と配置形状だけでも様々ありますが、オリジナルキッチンならば使い勝手に合わせて自由にデザインできます。5人家族のSさんの家は奥様が主に食事作りを担当されていますが、3人のお子様もお手伝いすることもあるし、休日はご主人が担当されることもあるというご家庭でした。間取り計画から、壁側にコンロを含むカウンター、ダイニング側にシンクを含むカウンターの2列配置キッチンの計画です。コストを抑えるために既製品で検討を進めると2列配置は思いの外高く、I型への変更も検討しましたが、やはり2列配置が捨て難いということで、オリジナルキッチンを造作することにしました。当初はコストを抑えるためにも大工さんに大枠を作ってもらうように考えていましたが、内部の造り込みを少なくすることで、家具屋さんに作ってもらえることになりました。

リノベーションの建築 ~建築の寿命~

山の上ホテルが再開を目指すというニュースをネットやTVに流れました。
かなりうれしい知らせです。
というのも1980年の大改修工事、設計チームの一員として現場で図面を描きつつ設計監理にあたっていました。
もともと山の上ホテルは竣工が1937年(昭和12年)佐藤新興生活館としてオープンしました。その後1954年(昭和29年)故吉田俊男氏が取得して改修工事を行いホテルとしてオープンしました。
さらにその後、時代の流れの中で老朽化した部分と新たな設備の大改修が行われ、1980年再開しました。なんとその時の改修工事費は数十億に上っています。 1980年の改修工事前、スーパーゼネコン何社かは建替えを提案しましたが故吉田氏は建替えに納得せずにいたところ、建物を残す改修案を提案した建築家が居ました。
その結果、山の上ホテルはオリジナルの姿を残すことが出来たのです。 小さな建物は別として、残される建物の多くは行政がかかわり歴史的な評価を受けた建物がほとんどです。なぜならコストがかかり費用対効果が見込めないからです。建築はある一定の機能を求めて造られます、そのためその機能が不十分になると壊され建替えられます、しかし山の上ホテル=佐藤新興生活館は機能を変えて残されました、さらにホテルの機能が不十分になりつつある時(~1980年)、よりよく残す道を再び選択しました。 世界には機能を変えて生き続けている建物が多々あります、パリのオルセー美術館やロンドンのテートモダン、京都の京セラ美術館など、小さな建物では町家を改修した商業施設などなど‥‥
「機能的な設計です」は設計者の殺し文句のようですが
建物の価値は果たして機能だけなのでしょうか?
機能だけの建物は消費されてしまうのではと。手元には1980年改修工事後の完了図面を開いています。図面を見ながら、考えさせてくれる山の上ホテルのニュースでした。
写真は1980年改修工事の終わったあとのものです。

地域の気候を住まいの設計に落とし込む

今年は、梅雨時ですが東京では最高気温が35℃前後となり暑い日が続きました。日中、現場に行くため外に出ますが、汗が止まらず度々水分補強をしながらでないと暑さで参ってしまいそうになります。同じ時期、暑い町として知られる熊谷市では猛暑日が続き、中には最高気温が38℃近くになる日も出たほどです。気温について書きましたが、暮らす地域により様々な日射量や降水量など気候の違いがあります。これは、日本列島が南北に長く、北は亜寒帯から南は亜熱帯まで様々な気候区分に属しているからです。また、高い山々が連なる山脈があり、冬は日本海側では曇りや雪、雨の日が多く、太平洋側では晴れの日が多くなります。

古くて新しい和室

部屋の名前にはリビングや台所、寝室など部屋の使い道を指す言葉になっていますが、「和室」は見た目の様子を表しています。床が畳敷き、床の間や押入れがあり、建具は襖や障子で出来ているイメージでしょうか。日本の昔の住まいでは、部屋と言えば畳敷きでしたから、どんな用途にも使われていました。現代の生活でもそれは可能ですが、多い使い道としては、座敷=接客のための場、茶の間=家族のくつろぎの場、予備室=客用の寝室、の3通りが考えられます。

ある住宅の変遷 — 末永く使うために

木造2階建ての住宅の38年間の変遷についてです。
38年前の4月、S氏は弟のW氏から提案されて、父親の土地に2世帯住宅を建てることにしました。その時、S氏夫妻は第一子が年末に生まれる予定で、W氏は独身のサラリーマンでした。
北側道路の敷地に設計された住宅は上と下がほとんど同じ間取りで、2階は外階段でのアプローチでした。平面の中央に収納が南北に配置され、東側が玄関から見通せるLDKで、西側が6畳の和室と縁側という構成です。収納を真ん中にして、周囲を一周出来るプランとしたのは、子供達がぐるぐる回って遊べることと来客の際、対応がし易いと考えたからです。

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