だいすきだから、究める。

木の家コラム

床材の選び方とお手入れ方法

住まいは長い時間を過ごす場所だからこそ、目や手など身体に触れる素材が大切です。特に、足が触れる床材には気をつけています。色や質感だけでなく、耐久性、耐水性などそれぞれの特性を意識して使い分けています。天然の木材をそのまま使用したフローリングの事です。複合フローリングとは異なり、1枚の木から切り出された材料を使っているため、木目や色合いが1枚1枚異なり、自然な風合いと質感が楽しめます。木の種類により色や質感が異なるため、実物を見ながら選ぶのをお勧めします。また、熱伝導率が低く冬場でも冷えにくかったり、調湿作用もあります。:比較的柔らかいためクッション性があり、長時間立っていても疲れにくく、足に優しい樹種です。時間が経つにつれて飴色に変化していきます。温かい感触の反面、柔らかいので傷がつきやすくもあります。:初めは白っぽい色合いですが、時間が経つにつれて飴色に変化し、味わい深い風合いになります。香りが良く油分も含んでいるので腐りにくく、杉よりもキズがつきにくい樹種です。:節が少なく、はっきりとした力強い木目が特徴です。また、広葉樹の中でも特に硬い木材で、傷や凹みに強い樹種です。普段は掃除機でホコリを取り、水拭きは避け、米の研ぎ汁を加えた水で固く絞った布で拭くと木のカサつきを防げます。落ちにくい汚れは、固く絞った雑巾で拭き、仕上げに乾拭きで水気を取るとよいでしょう。塗装は撥水性がなくなり水が染込むようになったら再塗装の時期です。1〜2年に1回が目安です。水廻りは早めに再塗装をして下さい。

“グリーンウッドワーク” の魅力

伐採したばかりの立木は水分を多く含んでいます。杉は水を好む樹種なので、伐採したばかりの年輪に触れるとしっとりと手が濡れます。伐採直後から乾きはじめ、乾くことで収縮します。正確に言うと、木の含水率が大気中の含水率(関東地方では約15%)になるまで乾燥が進むと収縮は止まります。
家づくりでは木材を乾燥させて使うことが大切ですが、乾燥のさせ方で木材の性状が変わってきます。木本来の香りや色合いなどを保全するためには、時間をかけて天然乾燥することがベストですが、管理が難しくコストや時間もかかるため、人工乾燥が一般化しています。
木の家だいすきの会で数年前から実用化している“彩の香り杉”も天然乾燥に近い中低温の人工乾燥方式で樹液成分の漏出を抑え、杉本来の香りや色つやを保全した杉材で、これを使って家づくりをお薦めしています。

補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」が国土交通省より発表されました。

新築住宅、省エネ性能向上リフォームに利用できる補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」の創設が、発表されました。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、ZEHやGX志向型住宅の普及を推進し、省エネリフォームを強力にサポート。「脱炭素社会実現」に向けて性能基準をさらに強化された内容になっています。新築住宅、リフォームそれぞれどのような内容か、下記にご案内します。
2024年度の「子育てエコホーム支援事業」とは異なり、全ての世帯が対象になります。

自由にオリジナルキッチンをつくる

共働き家庭が増える中で様々な家事を家族で分担するすることが多くなった中でも、食事作りは男性女性関係なく担当するご家庭が増えています。家づくりを考える時にキッチンは奥様主導というケースが今までは多かったですが、最近はご夫婦が同じくらいキッチンに立つケースが増え、誰が使っても使いやすい、複数人が同時に調理することもできる、そんなキッチンが求められるケースが多くなりました。キッチンにはI型、L型、対面型、アイランド型と配置形状だけでも様々ありますが、オリジナルキッチンならば使い勝手に合わせて自由にデザインできます。5人家族のSさんの家は奥様が主に食事作りを担当されていますが、3人のお子様もお手伝いすることもあるし、休日はご主人が担当されることもあるというご家庭でした。間取り計画から、壁側にコンロを含むカウンター、ダイニング側にシンクを含むカウンターの2列配置キッチンの計画です。コストを抑えるために既製品で検討を進めると2列配置は思いの外高く、I型への変更も検討しましたが、やはり2列配置が捨て難いということで、オリジナルキッチンを造作することにしました。当初はコストを抑えるためにも大工さんに大枠を作ってもらうように考えていましたが、内部の造り込みを少なくすることで、家具屋さんに作ってもらえることになりました。

リノベーションの建築 ~建築の寿命~

山の上ホテルが再開を目指すというニュースをネットやTVに流れました。
かなりうれしい知らせです。
というのも1980年の大改修工事、設計チームの一員として現場で図面を描きつつ設計監理にあたっていました。
もともと山の上ホテルは竣工が1937年(昭和12年)佐藤新興生活館としてオープンしました。その後1954年(昭和29年)故吉田俊男氏が取得して改修工事を行いホテルとしてオープンしました。
さらにその後、時代の流れの中で老朽化した部分と新たな設備の大改修が行われ、1980年再開しました。なんとその時の改修工事費は数十億に上っています。 1980年の改修工事前、スーパーゼネコン何社かは建替えを提案しましたが故吉田氏は建替えに納得せずにいたところ、建物を残す改修案を提案した建築家が居ました。
その結果、山の上ホテルはオリジナルの姿を残すことが出来たのです。 小さな建物は別として、残される建物の多くは行政がかかわり歴史的な評価を受けた建物がほとんどです。なぜならコストがかかり費用対効果が見込めないからです。建築はある一定の機能を求めて造られます、そのためその機能が不十分になると壊され建替えられます、しかし山の上ホテル=佐藤新興生活館は機能を変えて残されました、さらにホテルの機能が不十分になりつつある時(~1980年)、よりよく残す道を再び選択しました。 世界には機能を変えて生き続けている建物が多々あります、パリのオルセー美術館やロンドンのテートモダン、京都の京セラ美術館など、小さな建物では町家を改修した商業施設などなど‥‥
「機能的な設計です」は設計者の殺し文句のようですが
建物の価値は果たして機能だけなのでしょうか?
機能だけの建物は消費されてしまうのではと。手元には1980年改修工事後の完了図面を開いています。図面を見ながら、考えさせてくれる山の上ホテルのニュースでした。
写真は1980年改修工事の終わったあとのものです。

地域の気候を住まいの設計に落とし込む

今年は、梅雨時ですが東京では最高気温が35℃前後となり暑い日が続きました。日中、現場に行くため外に出ますが、汗が止まらず度々水分補強をしながらでないと暑さで参ってしまいそうになります。同じ時期、暑い町として知られる熊谷市では猛暑日が続き、中には最高気温が38℃近くになる日も出たほどです。気温について書きましたが、暮らす地域により様々な日射量や降水量など気候の違いがあります。これは、日本列島が南北に長く、北は亜寒帯から南は亜熱帯まで様々な気候区分に属しているからです。また、高い山々が連なる山脈があり、冬は日本海側では曇りや雪、雨の日が多く、太平洋側では晴れの日が多くなります。

古くて新しい和室

部屋の名前にはリビングや台所、寝室など部屋の使い道を指す言葉になっていますが、「和室」は見た目の様子を表しています。床が畳敷き、床の間や押入れがあり、建具は襖や障子で出来ているイメージでしょうか。日本の昔の住まいでは、部屋と言えば畳敷きでしたから、どんな用途にも使われていました。現代の生活でもそれは可能ですが、多い使い道としては、座敷=接客のための場、茶の間=家族のくつろぎの場、予備室=客用の寝室、の3通りが考えられます。

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