だいすきだから、究める。

木の家コラム

補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」が国土交通省より発表されました。

新築住宅、省エネ性能向上リフォームに利用できる補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」の創設が、発表されました。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、ZEHやGX志向型住宅の普及を推進し、省エネリフォームを強力にサポート。「脱炭素社会実現」に向けて性能基準をさらに強化された内容になっています。新築住宅、リフォームそれぞれどのような内容か、下記にご案内します。
2024年度の「子育てエコホーム支援事業」とは異なり、全ての世帯が対象になります。

自由にオリジナルキッチンをつくる

共働き家庭が増える中で様々な家事を家族で分担するすることが多くなった中でも、食事作りは男性女性関係なく担当するご家庭が増えています。家づくりを考える時にキッチンは奥様主導というケースが今までは多かったですが、最近はご夫婦が同じくらいキッチンに立つケースが増え、誰が使っても使いやすい、複数人が同時に調理することもできる、そんなキッチンが求められるケースが多くなりました。キッチンにはI型、L型、対面型、アイランド型と配置形状だけでも様々ありますが、オリジナルキッチンならば使い勝手に合わせて自由にデザインできます。5人家族のSさんの家は奥様が主に食事作りを担当されていますが、3人のお子様もお手伝いすることもあるし、休日はご主人が担当されることもあるというご家庭でした。間取り計画から、壁側にコンロを含むカウンター、ダイニング側にシンクを含むカウンターの2列配置キッチンの計画です。コストを抑えるために既製品で検討を進めると2列配置は思いの外高く、I型への変更も検討しましたが、やはり2列配置が捨て難いということで、オリジナルキッチンを造作することにしました。当初はコストを抑えるためにも大工さんに大枠を作ってもらうように考えていましたが、内部の造り込みを少なくすることで、家具屋さんに作ってもらえることになりました。

地域の気候を住まいの設計に落とし込む

今年は、梅雨時ですが東京では最高気温が35℃前後となり暑い日が続きました。日中、現場に行くため外に出ますが、汗が止まらず度々水分補強をしながらでないと暑さで参ってしまいそうになります。同じ時期、暑い町として知られる熊谷市では猛暑日が続き、中には最高気温が38℃近くになる日も出たほどです。気温について書きましたが、暮らす地域により様々な日射量や降水量など気候の違いがあります。これは、日本列島が南北に長く、北は亜寒帯から南は亜熱帯まで様々な気候区分に属しているからです。また、高い山々が連なる山脈があり、冬は日本海側では曇りや雪、雨の日が多く、太平洋側では晴れの日が多くなります。

古くて新しい和室

部屋の名前にはリビングや台所、寝室など部屋の使い道を指す言葉になっていますが、「和室」は見た目の様子を表しています。床が畳敷き、床の間や押入れがあり、建具は襖や障子で出来ているイメージでしょうか。日本の昔の住まいでは、部屋と言えば畳敷きでしたから、どんな用途にも使われていました。現代の生活でもそれは可能ですが、多い使い道としては、座敷=接客のための場、茶の間=家族のくつろぎの場、予備室=客用の寝室、の3通りが考えられます。

山を知らない設計者が山を滅ぼす?

SDGsの観点から「伐って、植えて、育てる」という森林の循環利用が大切であることが理解されるようになってきました。熱帯雨林の伐採が環境破壊として問題視されるなかで、20年前は「日本でも木を伐ることは森林破壊になるでしょうか?」という質問に「人工林が多い日本で今必要なことは、伐って植えて育てることです。」と正確に答えられる人は3割程度でした。現在では、この割合は相当高まっていると思います。 このように社会的認識がステップアップした現状のもとで、「専門家である設計者に求められることは何か?」と考えた時に頭に浮かんだ言葉が、「山を知らない設計者が山をほろぼす」という三井所清典氏(日本建築士会連合会元会長、芝浦工業大学名誉教授)の言葉です。日本は傾斜のきつい山地で林道の整備も進んでいませんので、運び出すための条件も考慮して使うことが必要となります。立木はまっすぐ見えても微妙に曲がっていますので長尺材の歩留まりは悪くなりがちです。丸太はよく使われる3mないし4mに伐採現場で切断され、土場に運ばれてきます。長尺や径の太い丸太は事前に情報を伝えておかないと入手が難しいし、価格も高くなります。したがって、建築コストを抑えようとすれば、地域で入手可能な木材情報を設計前に把握し、地域の大工さんが取り組みやすい在来軸組み工法で設計することが有力な選択肢になります。ところで、原木市場が担う“選木”機能は森林資源を余すところなく活用するカスケード利用の役割を担っています。丸太が全て建築用の製材として使えるわけではなく、杭などの土木用材料、木質材料の原料、紙の原料、燃やして熱源とするなどの需要があり、それを仲介する機能を担っています。森林資源のカスケード利用を促すため、製材や木質材料をどう選択して使うか、地域の事情を把握して設計することも必要です。

家づくり小話

設計監理で現場に行った時のこと。大工工事が終わりこれから左官工事(壁を塗る)が始まるという段階。現場に行ってみると 一箇所壁から「込み栓」(柱と梁を留める木棒)が出ているのです。
普通は切り落として、壁の中に隠れてしまうもの。現に他の箇所では全部切ってある。なぜか一箇所だけ残っている?。
あれ?切り忘れ?そして何でこのまま壁を塗ろうとしている? 現場監督に聞きました。
私 「○○さん ちょっといいですか。こっち ほら これ 何で?」
監督「ああ〜 切りますか?」
私 「えっと なんで?切り忘れ?」
監督「△△さん(棟梁のこと)たまにこういうことをするんですよ」
私 「えっと なんで」
監督「いや 気になるなら切りましょう」
私 「いや 気になるけど なんで?」
監督「こういう家だっていうこと ま 洒落でしょう」 みんな知っていて 残しているのですね。
棟梁がわざとやって
監督が そのままほおっておいて
左官屋が そのままで壁を塗ろうとしている。
それを設計者が無粋なことはしてはいけない。 木をしっかり組んだ家だよっていう表現もあるでしょう。
でもそれだけではないと感じました。
じつはいろいろ苦労があった現場だったのですが
この、ひとつだけ残された込み栓になぜか励まされたように感じました。 完成間際になって 住まい手もその込み栓に気付きました。
じ~っとしばらく見ていましたが その後、何も言いませんでした。
住まい手は あの込み栓に何を感じ取ったのでしょう? 今も あの込み栓事件は(事件?)私にとって想い出になっています。
面白い棟梁だったなあ。
こういうのって 人肌を感じるというか 気持ちがいいと感じます。
棟梁の家に対する熱意や思いがあり 周りの人(住まい手や設計者など)への気持ちがある。 家にそのような物語があることは そこに住む人たちにとって、どのような意味があるのでしょう?
時としてそれは青臭いし面倒くさい。
でも気持ちの豊かさ 情操を育んでいけるのは 
やはり 人と人との関係 人と自然との関係 人とモノとの関係だと感じました。
それ大切にしていきたい。 家づくりを通して 人が豊かになっていければと思いつつ・・・

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