来春、建築の法改正にご用心!
2025年4月から、木造住宅にも大きな影響がある法改正が施行されます。ポイントは2つ。
①省エネ基準の適合の義務付け、と、
②建築確認制度の見直し(4号特例の縮小)です。
2025年4月から、木造住宅にも大きな影響がある法改正が施行されます。ポイントは2つ。
①省エネ基準の適合の義務付け、と、
②建築確認制度の見直し(4号特例の縮小)です。
最近、新築ではなく中古住宅を購入してリノベーションするという人が増えています。よほど状態の良い中古住宅であれば別ですが、購入するとなると、劣化状況や耐震性、断熱性などの性能も気になりますよね。国も、空き家対策や中古住宅の流通を活性化させるため様々な施策を講じていて、2016年には宅地建物取引業法の一部が改正され、専門家による既存住宅状況調査(インスペクションと言います)の活用を促すことが義務化されました。依頼者の意向に応じてインスペクション業者のあっせんの可否を示すという少々ややこしい法律で、インスペクションの実施自体は義務化されませんでしたが、通常の不動産取引の場にインスペクションという言葉が登場することになりました。これまでは、築年数や構造、面積や間取りといった基本的な情報のみで中古住宅を売買していましたが、これからは、中古住宅の劣化状況等も専門家が調査してから売買するという、購入者が安心して良質な中古住宅を選ぶことが出来る仕組みづくりが進められています。
1月17日、阪神・淡路大震災から27年が経ちました。当日夜、「取り残された耐震化」というテーマのNHK特番が放映されましたが、住宅に比べて遅れているビルの耐震化や地盤という盲点が紹介されていました。
最近、地震、津波、噴火、台風、豪雪など、世界的に災害が頻発していますので、改めて我が家の防災対策をチェックされている方も多いと思います。
今回は、NHK特番でも言及されていた「地盤」について、概要をチェックする簡単な方法がありますので、ご紹介したいと思います。
2016年に、熊本県で震度6強から7の大規模な地震が起こりました。
建築基準法の耐震基準では、中規模の地震(震度5強程度)でほとんど損傷しないこと。大規模の地震(震度6強~7程度)で倒壊・崩壊しないことが求められており、これは大地震でも命を守るための最低限度の基準といえます。
熊本地震以降も震度5以上の地震は各地で発生しており、今後も中規模以上の地震が起きることが予想されています。
一般の方は違和感を抱くかもしれませんが、建築基準法の耐震基準は、熊本地震のような「大規模な地震動では倒壊・崩壊はしないが、損壊はする」というレベルです。
言い換えれば、「生命の安全は守るが、財産としての住居は壊れてもしかたない」としています。建築基準法だけに頼れないとすれば、どうしたらよいでしょうか。耐震等級3の住宅はほとんど被害がなかったため、熊本では耐震等級3の建物に建て替えを希望する人が大変多いそうです。一方、NHKの報道特集でも取り上げられていたため、ご存知の方も多いと思いますが、「直下率と床などの水平構面の耐力」がバランスよく確保されていれば、必ずしも耐震等級をあげなくても地震に耐える建物が可能です。
直下率とは上下階の柱や耐力壁の位置が重なっている割合です。
上限階で間取りがまったく同じならば直下率は100%となりますが、現実的には無理なため、そこで重要になるのが、上下階の耐力壁の力を伝える床の役割です。本会が中心となって開発を進めてきたGA(グリーンエア)斜め張り工法は、構造用合板を張った床を上回る床倍率を達成しており、間取りの自由度を確保しながら耐震性を高めることが可能になります。
熊本から東京に出てきた人が、生まれて初めて地震にあって驚いたと話していました。熊本はそれほど地震のないところだったわけですが、これからは、全国どこでも地震が起こると考える必要があるでしょう。建築基準法は、1986 年新耐震基準が導入、木造住宅については阪神淡路大震災を経て 2000 年 6 月にさらに強化されました。
今回の熊本地震で、専門家の関心は 2000 年 6 月の基準を改正し強化する必要があるかどうか、ということでしたが、国土交通省では検討委員会の調査結果報告をふまえ、「建築基準法改正の必要はない」との結論をつい最近出しました。
2013 年 3 月 11 日の東日本を襲った巨大地震と大津波によって合板工場が大打撃を受け、日本全国の全ての住宅建設が影響を受けることになりました。
「合板を使わない住宅は皆無である」と言ってよいほど、合板は日本の住宅建設に必要不可欠なものになっています。こうしたなか、木の家だいすきの会では、かねがね “合板を使わない” 工法を探ってきました。その理由はいくつかあります。数年前に挑戦した時は、お子さんのアトピーなどを気にする建て主向けに、「化学物質である接着剤を排除して自然素材のみで家をつくる」という目的が主たるものでした。
また、長寿命の住宅が社会的な課題になるなかで、70 度以上にも達する屋根の厳しい温熱環境や床下の湿気に合板の接着剤が果たして長期間耐えうるものなのだろうか、という懸念も工務店の声として上がっていました。
長持ちする住宅の一つの方針として国では長期優良住宅制度があります。
長期優良住宅は 4 つの基本性能を確保することが求められます。
4つのうちの一つは耐震等級2です。この強度を確保するために通常、床や壁に構造用合板を使います。
また省エネ対策等級 4 を確保するためには室内側に防湿気密シート(ビニールシート)を張り、外壁内部の結露を防ぐことが求められます。
私たち、NPO 木の家だいすきの会では無垢の木と自然素材(漆喰仕上げなど)を基本として設計していますので、可能な限り接着剤で固めた合板や石油製品のビニールシートを使った設計はしたくないと考えています。
そこで今回は、長期優良住宅であっても
■構造用合板を始め合板類は使わない、
■ビニールシートを使わず外壁内部結露を防ぐ、
にチャレンジした住宅の設計を行いました。