だいすきだから、究める。

木の家コラム

空き家を住み継ぐ -ゲストハウスによる再生

かつては人が住み生活が営まれていた建物も、住み手を失うと人の出入りが途絶え、窓は閉ざされ明かりが灯らなくなります。長い年月をかけて出来上がってきた通りの佇まいも、そこだけ時が止まり、やがては荒んだ印象に。
建物が空き家となる現象は、高齢化・人口減少・相続問題という日本社会の構造的問題の現れなので、一朝一夕に解決するものではありません。人口が頭打ちになってもどんどん新しい家をつくり続け、親の家を住み継がないことが当たり前になった結果の、空き家増加です。空き家となった建物を見てみると、特定空き家と呼ばれる倒壊の危険・衛生上の有害性・景観阻害があり除却が必要とされる建物は一部で、手を入れればまだまだ使える、建物自体の寿命を迎えていない家が大半のように見えます。こういったまだまだ使える建物を、親の家を受け継ぎ暮らす流れ、若い人たちの住まいとして売買される流れ、地域に必要な施設への転用など、あらゆる柔軟な形で生かされていくことこそ、人口減少を迎えてしまった日本社会の成熟した姿に思えます。紹介する2軒の建物は、町中の空き家を改修してゲストハウスに用途を変え、住み継ぎを果たした例です。

住まいのカタチ

ここ数年は新築よりも既存住宅改修や古民家調査の仕事が多くなってきました。昔の住宅と今の住宅の大きな違いは外との繋がり方の違いのように感じています。昔ながらの日本家屋は開口部が大きく、部屋も続き間で襖や障子で区切っていました。
今の住宅は、高気密高断熱化が進んだことで開口部は少なめ小さめとなり、部屋は個室化が進みました。熱の出入り部分を少なく、部屋も区切ることで、熱のコントロールはしやすくなったとは思いますが、空間としてのおおらかさは失われてしまうようで少し残念でもあります。 写真は東京国立博物館にある九条館という建物です。京都にあった九条邸の一部が移築されてきた建物です。外周部に縁側が回り、日中は開け放たれ夜は雨戸で閉じることができます。その内側に襖で仕切られた和室二間の周りをぐるっと廊下が配されていて、和室との間は障子で区切られています。雨戸を閉じると、屋外と和室の間は二重の空間で囲まれることになります。気密という意味では隙間はありますが、和室は二重の空気層で囲まれることで断熱性も考えられていたのかもしれません。また、室内の方の廊下の天井隅には小さな開口部があり、廊下に火鉢を置いた時の煙抜き用の換気口だったとか。

住み慣れた家で、これからも安心して暮らすために

今住んでいる家のことが、ふと気になることはありませんか。
傷みが目立ってきたけれど、まだ住み続けられるのか。地震がきたとき、この家は大丈夫なのか。冬の寒さがこたえる——長年暮らしてきた家への疑問は、意外と多いと思います。しかし、どこに相談すればいいのかわからない、という方も少なくないでしょう。
そんな時は、既存住宅の調査・診断や改修、維持管理などについて知識と経験をもつ専門家に、話を聞いてみることをおすすめします。長く住むほど慣れてしまい、寒さや暑さ、使い勝手の不便さも、日常の中で少しずつ受け入れられていきます。しかし、住まいの調査を行うと、その違和感には理由があることが見えてきます。空気の温度だけでなく、床や壁、天井の表面温度や断熱性能が大きく影響しています。暖房をつけていても足元が冷たいという感覚は、床の断熱性能の低さがそのまま現れているものです。

馬と木材のはなし

今年は「午年(うまどし)」ですが、昔から、馬と林業とは深い関係があります。伐った木材を山から運び出し、その丸太を何本も積んだ荷車を町まで曳いていく、といった風景は、昭和中期までは良く見られました。しかし、機械化によって、ほとんど消えていきました。伐った木材を山から馬を使って運び出す作業を「馬搬」と言います。日本では見られることの少ないこの「馬搬」も、ヨーロッパでは「ホース・ロギング」と呼ばれ、林業や森林整備の重要な作業として位置づけられています。

断熱や空調 時代の変移と今の家

私が修行した設計事務所は職人の手による家づくりを目指していました。家が新建材と工業化へ向かう時代に対して自然素材や人との関係から生み出される家づくり、モノづくりを大切にしようと。 玄関ドアや窓は建具職人による手造り。木の建具は風格があって味わいが増します。
所長の考えは「高気密高断熱は自然ではない。」「エアコンは無粋だ。」「風の通り道を考え夏はカヤを吊って過ごすといい。」(いっとき事務所でカヤの販売手伝いもしていたくらい)  20年以上前は今ほど暑くなく、断熱や気密も今ほど注目されていませんでした。
しかし今は連日の猛暑に熱帯夜 とてもじゃないけどカヤで快眠は難しいでしょう。断熱と気密への意識が高まると同時に知識や技術もあがりました。世間も性能を求めるようになりました。 住まいは時代を写します。自然の力だけで心地よく過ごすのは難しくなりつつありますし 我慢を良しとする時代でもありません。健康的な住環境を考えると断熱、気密の性能を上げていくこと エアコンなどの設備に頼る事も大切です。
採光や庇といった昔からの知恵も使って出来るだけ省エネにしながら、新しい技術や機械も採用するバランスが求められます。ただし、気をつけたいのが性能と経済性だけにとらわれると住まいがどこか息苦しい。ビニルハウス、冷蔵庫の中のように感じてしまうのでしょうか?それに情緒がないというか。
家づくりをする上でどこか自然を感じられるようにしたい思います。
軸足は自然とともに
天空の城ラピュタで「土から離れては生きられないのよ」という名台詞があります。
家もまた「自然と切り離された住まいは息が詰まるのよ」と感じています。

縁台、縁側そして濡れ縁 が つなぐもの

これほど暑くなかった半世紀以上前の夏休みの思い出です。栃木県足利市内の渡良瀬川の土手の脇に木造平屋の祖⽗⺟の家がありました。小学校の夏休みにはひと月近く泊って、田舎の暮らしをしました。朝の土手の上でのラジオ体操から始まって、川で泳ぎ、河原や原っぱ、桑畑の中を駆けまわって遊びました。夕方の雷に怯えつつ。

確認済証と検査済証

住宅などの建築物をつくる時、「確認済証」と「検査済証」という書類が必ず必要になります。工事の前にこの設計で建てて良いか、自治体や民間の審査機関に申請してもらえるのが「確認済証」で、これが無いと工事に着手することができません。(1999年に建築基準法が改正され、「確認通知書」から「確認済証」という名称に変わっていますが同様の書類です)また、完成時に設計通りちゃんと建てられているか検査を受け、合格するともらえるのが「検査済証」です。これから住宅を新築する場合は当たり前のようにもらえる書類ですが、既存住宅のリフォームなどを行う場合、これらの書類が有るか無いかで、今後は状況がかなり変わってきます。

高齢者と暮らす住まい

 現代では核家族での生活が一般的ですが、いずれは家族の形が変化し、拡大家族として暮らすことも珍しくありません。そのきっかけの一つとして多いのが、夫や妻の両親のうちどちらかが一人暮らしとなり、生活の不安から同居を考えるケースです。その際には、新築やリノベーションを機に同居を始めることもあります。 しかし、年齢や生活背景の異なる世代が同じ家で暮らすには、生活リズムや価値観の違いから、無意識のうちにお互いに負担やストレスを感じる場面が出てきます。だからこそ、「どうすれば高齢者と気持ちよく暮らせるか」を考えることは、家づくりにおいて大変重要な課題となります。 高齢者と同居するといっても、生活のすべてを共有することは現実的ではありません。食事の時間や睡眠のリズム、趣味や過ごし方はどうしても異なり、完全に同じ行動パターンを持つのは難しいからです。 例えばリビングと直結するような部屋は便利に思えますが、常に気配を感じることでお互いに落ち着かないこともあります。そのため、少し距離をとりながらも行き来しやすい空間配置が望ましいといえます。 ただし、反対に独立性が強すぎて互いの存在が見えなくなるのも考えものです。気軽にリビングへ出てこられる程度の距離感、つまり「近すぎず遠すぎず」が理想的な関係をつくります。

床材の選び方とお手入れ方法

住まいは長い時間を過ごす場所だからこそ、目や手など身体に触れる素材が大切です。特に、足が触れる床材には気をつけています。色や質感だけでなく、耐久性、耐水性などそれぞれの特性を意識して使い分けています。天然の木材をそのまま使用したフローリングの事です。複合フローリングとは異なり、1枚の木から切り出された材料を使っているため、木目や色合いが1枚1枚異なり、自然な風合いと質感が楽しめます。木の種類により色や質感が異なるため、実物を見ながら選ぶのをお勧めします。また、熱伝導率が低く冬場でも冷えにくかったり、調湿作用もあります。:比較的柔らかいためクッション性があり、長時間立っていても疲れにくく、足に優しい樹種です。時間が経つにつれて飴色に変化していきます。温かい感触の反面、柔らかいので傷がつきやすくもあります。:初めは白っぽい色合いですが、時間が経つにつれて飴色に変化し、味わい深い風合いになります。香りが良く油分も含んでいるので腐りにくく、杉よりもキズがつきにくい樹種です。:節が少なく、はっきりとした力強い木目が特徴です。また、広葉樹の中でも特に硬い木材で、傷や凹みに強い樹種です。普段は掃除機でホコリを取り、水拭きは避け、米の研ぎ汁を加えた水で固く絞った布で拭くと木のカサつきを防げます。落ちにくい汚れは、固く絞った雑巾で拭き、仕上げに乾拭きで水気を取るとよいでしょう。塗装は撥水性がなくなり水が染込むようになったら再塗装の時期です。1〜2年に1回が目安です。水廻りは早めに再塗装をして下さい。

“グリーンウッドワーク” の魅力

伐採したばかりの立木は水分を多く含んでいます。杉は水を好む樹種なので、伐採したばかりの年輪に触れるとしっとりと手が濡れます。伐採直後から乾きはじめ、乾くことで収縮します。正確に言うと、木の含水率が大気中の含水率(関東地方では約15%)になるまで乾燥が進むと収縮は止まります。
家づくりでは木材を乾燥させて使うことが大切ですが、乾燥のさせ方で木材の性状が変わってきます。木本来の香りや色合いなどを保全するためには、時間をかけて天然乾燥することがベストですが、管理が難しくコストや時間もかかるため、人工乾燥が一般化しています。
木の家だいすきの会で数年前から実用化している“彩の香り杉”も天然乾燥に近い中低温の人工乾燥方式で樹液成分の漏出を抑え、杉本来の香りや色つやを保全した杉材で、これを使って家づくりをお薦めしています。

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