だいすきだから、究める。

木の家コラム

共存、融合する建築

公開日: 最終更新日:

前回のコラムでUA値の数値を上げるだけでは快適な建築空間が出来ません、数値は一つの判断基準ですが数値のみを追いかけるとむしろ快適な空間創りから離れていってしまいますよ、というお話をしました。
UA値の数値を誇っていた某ハウスメーカーの、このコマーシャルは最近見かけなくなりました。

 

今回のコラムは、木の家だいすきの会からちょっと離れてのお話。

スペインアンダルシア地方にはイスラム建築とキリスト教建築が併存しています。

というよりむしろ融合とまで言っても過言ではない建物もめずらしくあります。その最たるものがコルドバにある大モスク通称メスキータです。このモスクは785年に建設が始まりイスラム時代に3回の増築がなされ巨大になりました。

現在は東西約135m南北約175mです。

1236年コルドバはキリスト教徒によって奪還されましたがモスクをすべて取り壊すことはしませんでした。その代りにモスクの中心をキリスト教教会に造りなおしました。

その為骨格は変わっていません。見事な2段アーチも美しく残っています、驚くことにモスクの必須アイティムのキブラやミフラーブも美しいまま残されています。さすがにミンバルは無くなっていました。モスクの象徴であるミナレットも残っています。果たしてこれはキリスト教教会?それともモスク?と思える空間です。

 

どうやら異なる宗教を敵視してしまうことや過激な破壊は近代から始まったようです。

一般の人々は宗教が異なっていても普通に共存しお互いをリスペクしていたことが建築を見ているだけでもわかる空間でした。

排除するのではなく共存、融合していく空間に魅力を感じました。

日本の公共建築もやっと木の建築との共存、融合が始まってきました。

遠景のメスキータ ドームが乗っていないのでキリスト教会のように見える
正面アーチ、マリヤ様とキリストや聖職者のレリーフ
左右の2段アーチは馬蹄形型のイスラムアーチ
ミフラーブは黄金に輝きコーランが刻まれている
中央のドームの天井 ロマネスクか、遠目から見たときの高い6角形の塔の内部?
2段アーチ、大きさがわかるように私と背景の人を入れました
この記事を書いた人

木の家コラム 一覧に戻る