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木の家コラム

「合板を使わない」というこだわり

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2013 年 3 月 11 日の東日本を襲った巨大地震と大津波によって合板工場が大打撃を受け、日本全国の全ての住宅建設が影響を受けることになりました。
「合板を使わない住宅は皆無である」と言ってよいほど、合板は日本の住宅建設に必要不可欠なものになっています。

こうしたなか、木の家だいすきの会では、かねがね “合板を使わない” 工法を探ってきました。その理由はいくつかあります。

数年前に挑戦した時は、お子さんのアトピーなどを気にする建て主向けに、「化学物質である接着剤を排除して自然素材のみで家をつくる」という目的が主たるものでした。
また、長寿命の住宅が社会的な課題になるなかで、70 度以上にも達する屋根の厳しい温熱環境や床下の湿気に合板の接着剤が果たして長期間耐えうるものなのだろうか、という懸念も工務店の声として上がっていました。

 

 

昨年度、木や漆喰の良さを最大限に活かした「健康な住宅」づくりを目指す「グリーンエア工法」の開発にあらためて着手しました。
この工法の開発過程で、断熱性を高めると結露を起こす危険が高まること、特に、合板の使用が、内部結露やカビの発生と密接に関係するとが分かってきました。
合板は湿気を通しにくい性質が強いため、壁や床などの内部に湿気が入り込んだとき、合板に達したところで結露する危険があるのです。

 

現在、東京都小平市にある職業能力開発総合大学校の先生方の指導をうけながら工務店と設計事務所からなる開発チームを立ち上げ、二階の床と屋根の斜め張り工法の開発に取り組んでいます。

つい先日、予備試験も終了し本試験に入りましたが、地域にごく普通に流通する安価な材料を使用して、この地域の大工さんがごく普通に使っているオープンな施工技術による現場施工型の工法とすることができました。
コスト競争力の高い実用的な工法になる目処もつき、皆さんにお披露目できるのも間近かと思います。ご期待下さい。

 

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