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木の家コラム

耐震性能を住まい手が選ぶ時代に!

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熊本から東京に出てきた人が、生まれて初めて地震にあって驚いたと話していました。熊本はそれほど地震のないところだったわけですが、これからは、全国どこでも地震が起こると考える必要があるでしょう。

建築基準法は、1986 年新耐震基準が導入、木造住宅については阪神淡路大震災を経て 2000 年 6 月にさらに強化されました。
今回の熊本地震で、専門家の関心は 2000 年 6 月の基準を改正し強化する必要があるかどうか、ということでしたが、国土交通省では検討委員会の調査結果報告をふまえ、「建築基準法改正の必要はない」との結論をつい最近出しました。

 

建築基準法は必要最低限の基準に過ぎない

しかし、今回の熊本地震で、実際は 2000 年 6 月以降に建築された木造住宅も、軽破・小破・中破が 104 棟(32.6%)、大破が12 棟(3.8%)、倒壊が 7 棟(2.2%)ありました。

一般の方は建築基準法さえ守っていれば安心と思っている方が多いと思いますが、実は建築基準法は必要最低限の基準に過ぎないのです。
建築基準法の耐震基準は、「耐用年限期間中に数度は遭遇する程度の地震(震度 5 程度)では壊れない」そして「耐用年限中に一度遭遇するかもしれない程度の地震(震度 6)では倒壊しない」というものです。

つまり、「震度 6 程度以上の地震では生命は守るが建物は破壊されてもしかたがない」という基準なのです。熊本地震は震度 7 の地震が 2 回たて続けに発生しましたので、建築基準法の基準をはるかに上回る地震が発生したわけです。

では、震度 7 の地震でも壊れない建物にしたい人はどうしたら良いでしょうか。方法がないわけではなく、住まい手が耐震性能を選択し、性能設計・性能施工に対応できる設計者・工務店を選択すれば可能です。
ちなみに、耐震性能を強化した耐震等級 3 の木造住宅では周辺の建物が倒壊したのに対し、何ら損傷を受けなかったという報告もあります。

熊本では住宅再建にあたり耐震性能を上げたいという方たちが多く、それに対応できない工務店は淘汰されかねないという状況だそうです。
今や、耐震性能を住まい手が選ぶ時代に入ったと言っても過言ではありません。
実は、耐震性能を上げたからといって、眼のたまが飛び出るほど建築費がアップするといいうことはないのです。

 

能力のある設計者や工務店であれば、要望すれば耐震性を上げる方法やそうした場合のマイナス面や建築費アップなどの情報を丁寧に説明してくれると思います。
住まい手はそうした情報をもとに、性能を上げたほうがようかどうか判断すればよいのです。

 

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