だいすきだから、究める。

木の家コラム

SDGs的“新普請道楽”のすすめ

文京区千駄木の旧安田楠雄邸は、“普請道楽”として有名な豊島園遊園地の創業者で実業家の藤田好三郎が大正8年に建築した近代和風建築です。
「食」道楽、「着」道楽など「〇〇」道楽という中で、“普請道楽”は、身上をつぶすほどの贅沢な道楽と言われています。落語では、「道楽者」や「道楽息子」が登場し、現代では、“道楽”は否定的な意味で使われることが多いようです。ところで、江戸時代の三大道楽は園芸道楽、釣り道楽、文芸道楽で、収入のなくなったご隠居が本格的にとりくむ趣味、生活を豊かにする楽しみでした。
そもそも「道楽」という言葉は仏教用語で、「仏道修行によって得たさとりのたのしみ、法悦の境界」ということだったそうで、より深い意味があったことがうかがえます

休日のコメ作り体験

 私が住んでいる所は畑や田んぼがある郊外の住宅地で、電車で東京の事務所へ通っています。電車に乗っている時間を考えると都内に住んでいた方が効率良いのですが、住まいの周辺環境もとても大事です。
コロナウィルスが蔓延してから自宅で仕事をするようになり、周辺を散歩する機会が増えたのでより実感をしています。そんな私が毎年参加しているのが、地元の農家がおこなっている米作りです。参加し始めてから5年目になります。
子供の頃は、田んぼや畑が祖父の家にあったので身近に感じていました。しかし大人になり働きだすとそんな環境が近くにありません。子供達にも米や野菜がどのようにできるのか体験して欲しいと思ったのがきっかけでした。

古材をリユースした住まいづくり -新しい場所で生き続ける古いもの達-

新築や改修の計画を進める際、建物の解体を伴うことがしばしばです。
多くの場合、建て主さんが長らく暮らした住まいで、思案の末に取り壊すことを決めた建物です。
建物自体は無くなる運命でも、使われているひとつひとつの部材は、傷みの程度が浅くまだまだ活躍してくれそうなものが少なくありません。なかでも年月を経てきた古い建物ほど、そういった部材に目が行きます。
建て主さんが思い入れを話されて、何とか生かしたいと要望される場合は喜んで使い道を考えます。
私が一目ぼれし、設計に取り入れる提案をさせていただくこともあります。 

地域の森の木を使って公共施設をつくろう

私の事務所があるのは、地元である埼玉県飯能市。
面積の約75%もの山林を持ち、江戸時代より「西川材」と呼ばれた木材の産地です。
私の家系は、山や林業に携わっている人はいませんが、せっかく地元が産地なのだから西川材の木の家を推奨しています。
建て主さんや建築地によっては、ときがわの木や、多摩の木を使うこともあります。 木の産地ですから、地元の公共建築物には「西川材」を利用するのが自然な流れですね・・・
コウ設計工房でも、時々小さな公共建物の設計を受け持つことがあります。以前、市の担当職員さんと、入札方式ではなく、プロポーザル方式で発注するのは難しいですか?・・とお話したことがありました。(簡単に説明すると、入札方式とは、設計金額を入札する中で金額により決まり、プロポーザル方式とは、企画提案を選ぶことで、設計者を決めます)
しかしながら、「設計者を決めるまでのプロセスや選定基準などが難しいなあ・・」ということで、今でも入札方式で決まるのが常です。 設計説明書では、「出来る限り西川材を活用した提案を行うこと」と書かれているのですが、我々のような地元の設計事務所が落札するとも限りません。地域材を生かした設計をしたくても、金額提示がうまくいかないと提案すらできないのです。公共施設の設計に手慣れた事務所は、役所が設計費としていくらくらいを想定しているかの見当を付け、最低金額を割らない、ちょうどいい塩梅で入札してきますので、コウ設計工房が受注できるのは、運しかありません。(経験値が低いのですね・・)公共工事の設計費は悪くないので、受注したい案件の場合など、比較的安い金額で入札したりしますが、最低金額より下回る金額だった場合に何度も失格になったことがあります。 数年前に受注した、駅前広場のトイレと山間部の小学校に隣接した学童保育施設では、構造材、内装材共に西川材を生かして実現できました。しかし、市外の設計事務所が設計を担当し、木に対して意識の低い工事会社が受注すると、西川材は少ししか使われないようです。
材木業者さんも嘆いていますが、何もできません。
木を生かす設計者、工事業者、役所の職員と協力してできる体制が出来ればこんなことにはならないのに、癒着だの談合だの騒ぐ人もいるから難しいんですね。

木のベットに思いをはせる

写真は2011年の完成見学会のときに撮ったもので、スギの無垢材で作ったベッドです。
建て主の方が特に願って建具屋さんに作ったもらったものでした。私は、この時はまだ還暦前で快眠を謳歌していましたので、あまり気にもとめていませんでした。
この時から10年経ち、歳を重ねるごとに、朝早く眼がさめて睡眠時間が短かくなったり、夜トイレに起きなくてはならなくなったりと、十分に寝られなくなるようになって、あの時の建て主の方の思いが理解できるような気がします。

住まいの温熱設計

正式なカウントの方法は定まっていないようですがヒートショックで亡くなる人は交通事故の約4倍とのデータがあります。
交通事故は交番などに表示が出ていることも多いので目にする方もいらっしゃるでしょう。
しかしヒートショックで亡くなる方の人数は各市町村の庁舎や町役場で目にすることはありませんし、交通事故死はニュースになりますがヒートショック死はニュース見たことがありません。最新の交通事故死者は年間2839人(2020年)一日に直すと7.8人/日になりますが、この4倍は31人/日という数字になりますので、一時間に一人以上の方が毎日亡くなられているということになります。
この数字にもう少し目を向けることが必要ではないかと感じています。 

鏡餅と地鎮祭

鏡は古代から神事に用いられるもの。鏡餅の名称はかたちが鏡に似ていることによるそうです。
ちなみに、三種の神器の他の二つ、勾玉(まがたま)は橙(だいだい)、剣は串柿です。
鏡餅は、年神様(としがみさま)が元旦に新年の幸をもたらすために高い山から降りてきてそれぞれのお宅に泊まるための依代(よりしろ)です。
鏡餅はお供えするだけではなく開いて残さず食べることが大切で、関東では松が明けた11日に鏡開きをし、鏡餅をおろして食べ1年の無病息災を祈ります。

住まいの自主点検のススメ ~住まいの致命傷を防ぐために~

寒くなり新型ウィルス感染が再び拡大してきました。皆さんは定期的に健康診断も受けられると思いますが、住まいの健康診断を受けたことはありますか?住まいも人間と同じように様々な病気になります。早期に発見すれば問題ないものも、放置して致命傷につながることや、修理に莫大な費用が必要となる場合もあります。 

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