だいすきだから、究める。

木の家コラム

設計者の目   匠の技

 匠の技でよくお話がでることに、木と木のつなぎ方の話があります。
木のつなぎ方は、長手方向に長さを延長させるつなぎ方を継手(つぎて)
と呼び、角度を持って 90°などにつなぐつなぎ方を仕口(しぐち)と言います。
通常つなぎ方が複雑になればなるほど力を伝えることが出来やすくなります。
必然的に手間がかかる加工になるため、力がかかるところとそうでないとこ
ろを見極めて加工の方法を決めていきます

設計者の目 木の家あったかリフォーム
-シニアにお勧めしたい、カラダにやさしい住まいの改修ー

 今冬の寒さもピークは越えたものの、まだまだ暖房フル稼働の日が続きそうです。
そんな中、リフォーム後初めての冬を迎えているYさん宅にお邪魔する機会がありました。
お子さん達が独立されて夫婦二人暮らしのYさん宅は築25年。老後を見据えたセカンドライフのためリフォームを行うに当たり、重点を置いたことの一つが建物の断熱化でした。伺った際にYさんは「厳寒期早朝の温度記録」と題した一枚の紙を示してくれました。
12月から1月にかけての約1か月間、Yさんは起床後の無暖房状態の室温を毎日記録されていて、その結果をまとめたものでした。それによると1階の居間と2階寝室で、いづれも外気温より13~16度高く、居間では平均室温が15度を上回ったという結果でした。
一日で最も気温の下がる早朝、暖房を運転する前の測定です。
リフォーム前は同じ時期で5度程度と記憶しているとのことですから、断熱により実に10度の室温の下降を防いだことになります。

怖い内部結露を防ぐには

 水蒸気は、私たちが息をしている空気の中にごく普通に含まれていて、水とは比べ物にならないくらい細かいため、建材の中にも容易に浸透していきます。
建材のなかに浸透していきながら一定の温度(露点温度といいます)以下に触れると水に変化 ( つまり結露 ) します。ガラスのように水蒸気を通さない建材では表面に結露します。
外壁近くに合板のような水蒸気を通しにくい材料を張っていると、建物内部から外に向かって流れる水蒸気は合板でせきとめられ、露点温度以下に達すると結露することになります。これが内部結露で、建物の腐朽を早める恐ろしい現象です。
実は、断熱性・気密性を高めた冬暖かい家にすると結露の危険性が高まってします。
したがって、断熱性・気密性を高めた場合には、あわせて結露対策をしっかりやっておくことが必要となります。現在、国土交通省では、水蒸気が壁体内に入らないよう防湿気密シートをはるよう推奨し、その講習を全国的に進めています。
木の家だいすきの会では、木の家の気持ちよさの源泉は吸放湿性にあると考え、それを阻害しないよう、何とか防湿気密シートを張らない防露工法の開発を進めてきました。 ここで紹介する木の家は、断熱材は自然系のセルロースファイバーを採用した上、より水蒸気を通しやすい建材を外側に採用し、さらに通気層を確保することで、内部結露を防止しています。
温熱環境設計の一環として結露チェックも実施しましたが、設計通り結露が発生しないかどうか確認するため、壁の中に温湿度センサーを埋め込み、工学院大学建築学部中島研究室に依頼して 1 年間計測していることろです。今回、計測データの中間報告がまとまってきましたが、内部結露の発生は見られず、防露設計の有効性が確認されました。

「合板を使わない」というこだわり

 2013 年 3 月 11 日の東日本を襲った巨大地震と大津波によって合板工場が大打撃を受け、日本全国の全ての住宅建設が影響を受けることになりました。
「合板を使わない住宅は皆無である」と言ってよいほど、合板は日本の住宅建設に必要不可欠なものになっています。こうしたなか、木の家だいすきの会では、かねがね “合板を使わない” 工法を探ってきました。その理由はいくつかあります。数年前に挑戦した時は、お子さんのアトピーなどを気にする建て主向けに、「化学物質である接着剤を排除して自然素材のみで家をつくる」という目的が主たるものでした。
また、長寿命の住宅が社会的な課題になるなかで、70 度以上にも達する屋根の厳しい温熱環境や床下の湿気に合板の接着剤が果たして長期間耐えうるものなのだろうか、という懸念も工務店の声として上がっていました。 

設計者の目
「時をつなぐ」住まいのリフォーム

 ここ数年、住まいの耐震性や省エネについての関心が高まる中で、家族構成やライフスタイルが変化する時期に差しかかった同年代(50-60歳台)の方々から、リフォームの設計依頼が何軒か続きました。
建物のリフォームに際しては、老朽度や耐震性をチェックする構造調査が、まず必要です。
それを基に、構造の補強や、老朽箇所の補修、断熱材の補充等により建物の基本性能を整えながら、暮らしやすさを考えた間取りの変更、水廻り設備の更新、建具や内外装の更新などを、必要に応じて行います。
お施主さんも20年、30年と住んでいるので、事前の聴き取りで家の歴史をうかがうと、様々な思い出話が出てきたり、天井裏をのぞいて小屋組みが見えると、過去の増改築の痕跡が解ったり、面白いことが色々あります。
このような中から、家に対する施主さんのこだわりや愛着を掬い取って、新しい計画に生かし、これまで積み重ねてきた時間が作り出す魅力を先につなげるのが、リフォームの意義だと思います。
手がけた事例でも、新築とはまた一味違う、しみじみとした満足感が、施主さんにも設計者にもありました。 

温熱環境と健康な暮らし

 日本の浴室での死亡事故者数は、欧米先進国の 10 倍以上で世界的に見ても群を抜いて大きいことをご存じでしょうか。日本ではヒートショックで亡くなる人は、実に交通事故死亡者数約 4 千人の 3.5 倍に当たる年間 1 万 4 千人に達します。
交通事故の死亡者数は 1970 年に 1 万 7 千人に達し、大きな社会問題となった結果、全国的な交通事故撲滅運動が展開されて 2013 年には約 4 千人にまで減少しました。ヒートショックによる死亡が国民的課題になるのも時間の問題と言えるでしょう。
ヒートショックの理由としは、「浴槽につかることを好む」うえに「浴室の室温が低いこと」などが大きな理由と言われており、住宅の温熱環境が主要な原因の一つとなっています。

健康と住まいの温熱環境の関係 ~ヒートショック~

 最近耳にする「ヒートショック」は、急激な温度の変化で身体がダメージを受けることです。居間などと脱衣所や浴室、そして入浴の際の熱い湯との激しい温度差により、血圧の急上昇が大きな負担となり、心筋伷塞や脳出血、脳伷塞などによる突然死を引き起こす原因となると言われています。また、浴室内のヒートショックで亡くなられる方は、交通事故死亡者数よりも多いという驚きの数字が発表されています。

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