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木の家コラム

設計者の目  木の家の建具

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建物の出入り口・窓・収納などの、開け閉めのため動かす部分を建具(たてぐ)と呼びます。 外部に接する部分では、アルミサッシが使われることが殆どですが、家の中の建具は主に木製です。

 

職人がつくる

アルミサッシは、枠とガラスが組み合わされひとつの製品として取り付けられます。
昨今は間仕切りに設けるドアや引き戸も、サッシと同じように枠と戸がセットになった製品を、構造体にはめ込むスタイルが増えてきたようです。(図 1)
しかし私たちのつくる木の家ではそうではありません。
大工さんが建物に合わせて加工した鴨居や敷居を柱の間に取付けて四方を形づくり、建具職人が採寸・製作した建具をそこに建て込みます。
日本の木造建築で長く培われてきた方法であり、大工と建具職人のコラボレーションによります。
開放的な日本の家の、露しになった柱や梁とよく馴染み、自由なデザインが可能です。(写真 1)

写真1

 

無垢の木を使って

建具はドアでも引き戸でも、角材を縦横に組み、面となる部材を張ってつくるのが基本です。
無垢の木で作った建具は、剥がれやへこみなど起き難く丈夫で、年月と共に味わいが増す点は、柱や床板などの無垢の木と同じです。
建具は建物に固定せず動かして使うためと、人の目に触れやすい部材ゆえ、反りや割れの起こりにくい木目の美しい良材を用います。(写真 2)

写真2

 

紙・ガラスと組み合わせて

設置する場所や用途によって、木と組み合わせて用いる材料や仕上げ方法も様々です。 襖や障子は伝統的に和紙を用いてきた建具です。
光を通したり建具越しの気配を伝えたい場所の建具ではガラスを組み合わせます。(写真 3,4)

写真3
写真4

 

金物使いで開閉の方法も多様に

ドアの開け閉めに使う丁番は、古くからあるバリエーションの多い建具金物ですが、昨今は折れ戸や上吊り戸など、レールを用いた金物の発展によって、木製建具も多様な開閉が可能になってきました。

 

建具は建築の一部材で、風・光・音の調整などの物理的役割と共に、間取り構成やデザインイメージの要となることもある重要な部材です。
既製品をはめ込むだけでない柔軟な扱いで、住み心地のよい木の家をつくっていただきたいと思います。

 

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