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木の家コラム

「健康な住まい」に思いをはせる

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ベネチアの都市づくりに学ぶ

ベネチアは、中央の大きく蛇行する大運河と路地のような無数の運河がおりなす「水の都」です。

ベネチアの特徴をなす運河ですが、運河を管理する行政官は特別な職種で、就任式が18世紀までつづくベネチア共和国の元首によって取り行われました。
その際には「この者の功績を讃えよ、それに相応しい報酬を与えよ、しかし、この地位にふさわしくないとなったら絞首刑に処せ。」と宣言されました。
運河の管理がベネチアの生命線ともいえる重要な仕事であったためです。

一見、計画がないように見える運河のかたちは一貫した原理によってつくられていたのです。
それは、恐ろしい伝染病を防ぐため、川の流れと潮の満ち引きを利用して、自然をとりこみながら水が滞留して腐らないよう、常に水の流れをつくりだすよう計画され、改善されてきました。

交通手段として使うというのは二次的な目的で、「健康」な街をつくるというのが、ベネチアの都市づくりの原理で、その結果として現在のようなヒューマンスケールの魅力ある街ができたのです。

 

「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」が教える4つの知見

政府は「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」を平成26年から4年間の計画で取り組んでいますが、つい最近、調査で得られた4つの知見を発表しました。

1) 冬季において起床時室温が低いほど、血圧が高くなる傾向がみられた。
2) 高齢者ほど、室温と血圧との関連が強いことが認められた。
3) 断熱改修によって室温が上昇し、それに伴い居住者の血圧も低下する傾向が確認された。
4) 居間または脱衣所の室温が18℃未満の住宅では、入浴事故リスクが高いとされる熱め入浴の確率が有意に高い。

ヒートショックは重要な政策課題となり、その対策として断熱改修等はこれまで以上に推進されることになるでしょう。
「健康」な住まいづくりが、ベネチアの都市づくりのように魅力的な住まいづくりに結実するためには、どうしたらよいでしょうか。

木の家だいすきの会としては「自然素材の良さを最大限に生かす」というところに突破口を見出し、2017年も取り組みたいと考えています。

 

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