だいすきだから、
木の家コラム
「時」を刻む、自然を感じる暮らし
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1 年は 365 日、1 日は 24 時間、1 時間は 360 秒、太陽暦に慣れた現代人には、地球上どこでも 1 秒は同じというのが常識です。
江戸時代の末期になると我が国でも時計がつくられるようになりましたが、その当時は、太陰暦でお日様が出れば起き、沈めば寝るという暮らしでしたので、あたりが白み始める「明け六つ時」と薄暗くなる「暮れ六つ時」の間を等分して表示する不定時法で作られました。
1 日の中で昼と夜の時間が異なる、四季によって昼夜の時間が変化する自然にあわせた時計です。
写真は 1851 年に東芝の創業者である発明家の田中重久が作成した万年時計で、不定時法と定時法を併用し非常に複雑な機構を持った和時計技術の最高峰と言われる時計です。
明治政府が太陽暦を明治 5 年に導入し、それまで太陽の営みにあわせて暮らしていた江戸時代の人たち、特に農民にとっては、青天の霹靂だったようで、日本全国で暴動が起こったという記録が残されています。
現在では、自然を生活の中にもっと取り入れたいと思う人が多くなっていますが、かって暴動が起きたように、もしかしたら大きな暮らしの変化を伴う入口にいるのかもしれません。
木や漆喰などの自然素材を問題が生じないよう配慮して使うには、職人の技が不可欠と言えますが、これからの新しい暮らしのニーズに応えていくためには、自然素材の家づくりにも和時計の発明家たちが挑んだようなイノベーションへの果敢な挑戦が必要になるでしょう。