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木の家コラム

設計者の目
よその現場検査業務で感じたこと

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当社では、木造の住宅設計が主な業務ではありますが、その傍ら、検査業務も行っています。
何の検査かと云いますと、瑕疵保険会社の検査員としての瑕疵保証やフラット35などの現場検査などで、仕事が暇になったときの収入源ともなるのですが、本業が忙しくなるとちょっと辛いのが現実です。
その現場検査などで感じたことを書いてみます・・

 

まず、検査に伺う案件の95%くらいは、中堅ビルダーや工務店で、大手ハウスメーカーは対象外(大手は供託金を預けることで第三者検査は受けなくて良い)であり、実際の設計・監理者は存在していません。

ほぼ、自社設計又は下請け事務所が図面を描いていると思われ、それも自動で作図するCADを使用してる模様で、図とマークが重なって図面が見づらくてそのままです。

外観デザインも、コストや作業性重視でマニュアル化されているので、どの現場も同じ・・

 

現場では、間柱や筋違いまで工場プレカットされ、できるだけ現場作業を少なくしている状況を大工さんと話をしたことがありますが、「もう、俺たちは大工じゃなくて組立屋だな・・なんでもかんでも準備されてくるよ。」と、つまらなそうに云っていました。

 

でも、良いところもあります。現場作業もマニュアル化されている分、断熱材の施工などはしっかりと施され、品質管理の担当者検査や制震ダンパーを標準装備している建物もあったりと、一昔前の建売住宅とは比べ物にならないくらいです。

しかし、中には、今時こんなんことでいいの?・・と首を傾げたくなる業者も存在していますので、購入してみて「当り、はずれ」は、やはり有りますね・・

 

近年は、建物を永く持たせよう・・中古住宅にも価値を持たせよう・・という、政府の動きもありますが、「組立屋」さんでは、増改築やリフォームも困難になり、やはりスクラップ&ビルドから抜け出せないのではないかと懸念します。

だから、設計者も大工も、伝統と現代の技術を融合させ、新しいデザインや性能を発展させるべく、常にスキルアップをしていかなければなりません。

そして、さりげなく「木の家で気持ちよく暮らしましょうよ・・」と建て主さんに「木の家」をお薦めます。
・・あくまでも、さりげなく

 

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