だいすきだから、
木の家コラム
設計者の目「時をつなぐ」住まいのリフォーム
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ここ数年、住まいの耐震性や省エネについての関心が高まる中で、家族構成やライフスタイルが変化する時期に差しかかった同年代(50-60歳台)の方々から、リフォームの設計依頼が何軒か続きました。
建物のリフォームに際しては、老朽度や耐震性をチェックする構造調査が、まず必要です。
それを基に、構造の補強や、老朽箇所の補修、断熱材の補充等により建物の基本性能を整えながら、暮らしやすさを考えた間取りの変更、水廻り設備の更新、建具や内外装の更新などを、必要に応じて行います。
お施主さんも20年、30年と住んでいるので、事前の聴き取りで家の歴史をうかがうと、様々な思い出話が出てきたり、天井裏をのぞいて小屋組みが見えると、過去の増改築の痕跡が解ったり、面白いことが色々あります。
このような中から、家に対する施主さんのこだわりや愛着を掬い取って、新しい計画に生かし、これまで積み重ねてきた時間が作り出す魅力を先につなげるのが、リフォームの意義だと思います。
手がけた事例でも、新築とはまた一味違う、しみじみとした満足感が、施主さんにも設計者にもありました。
神楽坂の家
2階の数寄屋風の和室の雰囲気を極力残し、1階の生活空間を無垢の木と漆喰の内装で、快適にしました。
1階はいったん骨組みを現わして、耐震補強をしています。 「書道家だった叔母の大切にしていた和室を生かせたことが良かった」と施主さんの話です。
大泉の家
両親から受け継いだ築45年の家を耐震補強し、キッチンから居間、ウッドデッキへと、一連につながる空間にし、自慢の庭の眺めがいつも楽しめる住まいになりました。
結婚した娘さんたちやその友人もよく訪れて、飲み会をするとのことでした。
茂庭台の家
約30年前に設計し、3.11の大震災にも耐えた友人の家で、まだ仕事で忙しい夫妻の快適な住まいとなるように小さな増築をしました。
居間・食堂から角度を付けて庭に飛び出た部屋は、無垢の木の感触が味わえるポケットのような空間です。 息子さんがたまに帰省すると、ここに布団を敷いて寝ているそうです。