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木の家コラム

古くて新しい和室

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部屋の名前にはリビングや台所、寝室など部屋の使い道を指す言葉になっていますが、「和室」は見た目の様子を表しています。床が畳敷き、床の間や押入れがあり、建具は襖や障子で出来ているイメージでしょうか。

日本の昔の住まいでは、部屋と言えば畳敷きでしたから、どんな用途にも使われていました。現代の生活でもそれは可能ですが、多い使い道としては、座敷=接客のための場、茶の間=家族のくつろぎの場、予備室=客用の寝室、の3通りが考えられます。

融通(ゆうずう)無碍(むげ)な空間

 ちゃぶ台を出してくれば食事ができ、布団を敷けば寝られ、何も置かなければ広間として使える。和室はとても融通の利く便利な空間です。ですので、新築時に「取りあえずひとつは和室」をとの要望がよく聞かれます。しかし家の中の配置によっては、限定的な使い方しか出来ず、死に部屋になっていることも多いようです。接客のためだからと、玄関の近くにポツンと設けた座敷や、ドアひとつで出入りするつくりの客用寝室などがその例で、めったに使われない部屋になってしまいます。

襖を使って開いたつくりに

 独立性の高すぎる和室は、使われない部屋になってしまう可能性が大です。普段の生活と切り離さずにつくることがポイントです。

 日本の家には、襖という優れた装置があります。部屋の一面又は二面に何枚かの襖を重ねて建て込むことで、閉めていれば壁の代わりになり、開け放つと隣室と一体化させることができます。

新しい和室のつくり方

 床の間や襖といった定番の装置に捉われず、もっと自由に和室をつくることもできます。「畳を敷く」ことを自在に取り入れることです。椅子を使わず床に直接座る生活は、長く日本人の生活に沁み込んでいて、今でも根強い人気があります。そして畳の感触のよさは、他に代え難いものです。畳を使いながらも、和室の形式にはこだわらないつくりが可能です。

 畳敷の部分をリビングやダイニングのコーナーにつくり、大きなベンチのように使う方法は、立ち座りがラクで人気があります。

 和室をリビングに近接させ襖や障子の開閉で部屋の広さや演出を変化させるのも良いでしょう。

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