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木の家コラム

杉の香る住まい

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猛暑のこの夏、街を歩いていてホっとするのは、樹木に出会った時です。
木陰に入った途端、焼けるような日射が緑の影に替わり、涼しい風とさわやかな香りに包まれ、ここなら何とか生きていけそうな気がしてきます。
これからの暑さ対策には、街じゅうに樹木を植えるしかないのでは、と思わされます。

木の香り

そんな「木」の力は、住まいづくりに使われた時にも発揮されます。
内装材に採り入れた時、視覚的魅力、調湿作用、手触り・足触りの優しさ、等に加え、その「香り」も優れた特徴になります。

無垢の木を使って住まいを作られた、「木の家だいすきの会」の会員さんのお宅を訪問して、玄関から中に入ると、まず、木材の「香り」に迎えられます。
住まい手さんは「馴れてしまって案外気づかない」とおっしゃる方もおられますが、無垢の木材に直に触れ、その香りに包まれる暮らしは、心身ともに、木の恵みに満たされているといってよいでしょう。

 「杉」の香りには、気分をリラックスさせる鎮静作用があり、深い睡眠も得られる、といった効果が期待できると言われ、いくつかの研究結果も発表されています。

Mさんは、そんな「杉」の力を採り入れたいと、お住まいのマンションのリフォーム時に、床全面に杉の無垢材を使われました。それも、長い時間をかけて育てた、香りの素である精油分が特別に豊富な杉の無垢板(※「百年杉」加藤木材)です。
また、木材の香りを引き出すためには、短時間の高温乾燥ではなく、中~低温で時間をかけて乾燥させる必要があり、この床材もじっくり、丁寧に作られています。

リビングの床は、豊かな香りに加え、優れた保湿・保温性によって、冬は床暖房なしでも暖かく、夏はさらっと足触り良く過ごせます。
寝室も同様で、以前より良く眠れるようになった、とのお話でした。

玄関から続くマンションの細長い廊下も、杉の香りが漂い、少し節のある床板材によって、表情のある空間になっています。

マンションの床に無垢材を使う時に注意するポイント

ただし、マンション床のリフォームで無垢の木材を使うときに、気を付けなければならないのは、遮音性能の問題です。既存の床は、マンションの規約で決められている遮音性能の数値が守られているはずですが、その上に直接、無垢の板材を張ると、遮音性能が落ちてしまうことが多いので、要注意です。
この事例では、既存の床を撤去し、二重床にすることで遮音性能を確保しました。

無垢床材の下に、脚の付いた遮音性能のある床下地を設置
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