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木の家コラム

古民家再生にも通じる、バイオリンの話

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 子供の頃に習っていて、長いこと中断していたバイオリンのレッスンを、数年前に再開しました。しかし子供時代の覚え方の早さとは比べ物にならず、壁にぶつかる日々です。

 

バイオリンは「木」でできている

 バイオリンはすべて木で作られています。

 表面は比重が小さく音が伝わりやすい「スプルス」(ドイツトウヒ)、裏面は「メイプル」(カエデ)で、程よく硬く、木目が密できれいなものが使われています。

 これらの木材の良し悪しや天然乾燥のさせ方が音の美しさを左右し、楽器の価値が変わります。名器「ストラディバリウス」の材料は、驚くほど均一で密な木目を持っていて、ヨーロッパがかなり寒冷だった時期(14Ⅽ~19Ⅽ半)の木材を使っているのではないか、と言われています。

私のバイオリン
バイオリンの裏板

 他にも、弦を押さえる指板には「エボニー」、弦を巻き付ける糸巻には「ローズウッド」等が使われています。

 弓の棹はブラジル産の堅木「フェルナンブコ」が多いのですが、希少木材になってきている様です。弓に張られている毛は、馬の尻尾。そのため、バイオリニストは馬に足を向けて寝られない(⁈)そうです。  

弦を巻く糸巻
弓の先端

 私の相棒のバイオリンも、練習用の、決して高価ではない楽器ですが、50年以上前に購入した時、既に中古品を補修したものだったので、100年以上は前のものだと思われます。

 そしてレッスン再開にあたり、長い間放置してガタついていたバイオリンを「解体修理」してもらいました。各パーツをバラバラにして形を整え、不具合を調整して組み立てる、小さな傷はそのままに、味わいとして残しつつニスを塗って仕上げる。古い木造の建物を何度も修理しながら蘇えらせて使い続ける、古民家再生と通じるものを感じました。これも「木」でできている故の優れた持続性なのでしょう。

解体した表板
バイオリン工房

 木材故に、湿度に影響を受けやすく、調整にも気を使いますが、長年弾き続けていると音の響きが良くなったり、自分に合った音になってきたり、と変化する面白さもあります。

 そして、100年以上前にどんな人がこのバイオリンを手にしていたのだろう、と思いながら、ちっとも上手く弾けないバッハの曲と向かい合う日々です。

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