だいすきだから、つくり続ける。

叶えたのは、シニア世代にとっての居心地の良さ

埼玉県所沢市

“顔の見える木”が、住まいを支え彩る

かねてより、老後の暮らしを見据えていたSさんご夫妻。そんな中、木の家だいすきの会の伐採見学会を訪れ、そこで見た職人たちの想いや技術、また木の家だいすきの会の理念に共感し、木の家づくりを即決。設計はコウ設計工房の大沢宏さん。施工は笹森工務店が担当することになり、新築の家づくりが始まりました。

「実は私たちは60の年になるまで、家をつくったことがなかったんです。だからこそ、終の住処となるような満足のいくものにしたいと思い、大沢さんや笹森さんともたくさん議論をして3年ほど時間をかけてつくりました」
そう話すのは、ご主人。ご夫妻のこだわりが詰まったこの住まいで、まず目が行くのは1階と2階を貫く立派な大黒柱。これは伐採見学会で伐採された杉の木で、自分の目と手で確かめた素材の良さだからこそ、安心して活用できたといいます。

家を支える大黒柱。
木の家だいすきの会では、大黒柱などに使用する木材が伐採されるのを見学するイベントを提供している

また、内装材に使用している木にも、奥様の想いが込められています。
「私の亡き父が奈良で山を持っていたのですが、そこで育てられていたヒノキを運んで活用しました。父の残したものを有効活用でき、さらに山の環境保全にも少しは役立てたかなと思っています」
ヒノキの活用を提言したのは設計者の大沢さん。かくして、父の想いがこもったヒノキは、2階の一部の床板と腰板となってご夫婦の生活を支えています。

居心地の良さを、みんなのものへ

ご主人は高齢者向けの福祉施設で働いていた経験から、自ら“シニアが暮らしやすい家”を検討していました。その結果備え付けられたのが、ホームエレベーターや車いすでも入れるゆったりとしたトイレ、そして360度手をかけることのできるお風呂など、バリアフリーの考えが徹底されています。

「まだ元気だから活用しきれていない部分もあるけれど、先を見据えてつくることが大事。特に、お風呂はとても使いやすくて気に入っています。手すりが四方にあるから安定しやすいし、無垢材で質感もいいから格別な気分になるんです」

ご主人がこだわり抜いた、ヒノキのお風呂。
使い勝手はもちろん、庭の借景も含めて特別な入浴時間を与えてくれる

まだ元気なうちは、この新居をコミュニティの場として活用すべく、広々とした2階のリビングは地域食堂として、1階の一部屋は自身の趣味でもある機織りの工房として開放してきました。

食堂に連なる和室は、木と畳のもたらす居心地の良さが抜群。小さなお子様連れにも人気でした。
アンティーク家具との相性も◎

心地よく吹き抜ける風に、プロの腕をみた

ご夫妻それぞれのこだわりが詰まったSさんのお住まい。一方で、木の家だいすきの会による職人技が「家の完成度を上げてくれた」と言います。
特に満足しているのは、“風通しの良さ”。たしかに、2階にいるとスーッと涼風が身体をなでていき爽快そのもの。息苦しさがまったくありません。

「軒下から外気を取り込んで、天井の中央部へ通り抜ける仕組みになっているそうで、熱が溜まらない」
とご主人。こうした通気工法は木の家だいすきの会のメンバーたちが得意とするところで、住まいの環境と自然の恵みを活かした家づくりは好評を得ています。

木の家だいすきの会からのコメント

始めてお会いしたのは、Sさんがお孫さんと一緒にときがわ町内の森で開催した秋の伐採見学会の時でした。帰りがけにSさんが「ときがわの木を使って建てたい」と言い残して足早にお帰りになった後ろ姿が、今でも強い印象で残っています。

この住まいの施工事例

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