老後を見据えたご夫婦二人の生活で、リフォームか、建て替えかを迷われていました。
未だ築25年で設備の交換や内外装の補修は行えても、希望どおりの家になるか?
そして、住まい手さんが予想がつかなかったのは、
・将来、1階ですべての生活が送れる間取りが、多少の増築で可能か
・冷暖房費がかさむ「寒くて暑い」状態を解消できるか
・趣味で収集した民芸家具・美術品を生かすインテリアが叶うか  の3点でした。
可能であっても新築以上に費用がかかっては意味がなく、また大掛かりな増改築をしてまで長年保たせる価値のある建物なのか、といった疑問が、長年リフォームに踏み切れずに来た原因でした。

その判断には、建物の性能と劣化状態を見極め、どの程度の改修が必要かを正しく想定することが重要です。
耐震診断と、内外装・小屋裏・床下調査による劣化診断を行った結果、間取り変更に合わせて耐震補強を行い、外壁は温存したまま屋根・床・窓に断熱を施し、1階は構造体を残して床・壁・天井の内装を一新することで、課題がクリアできることがわかりました。
また、費用も、同性能の新築に比べ7割程度で済むとの試算により、リフォームで進める方針が決まりました。

間取り変更のポイントは、リビングヌックの増築と、キッチンを見通しの良い南向きの場に移した点です。
リビングヌックは、将来ベッドが2台置ける広さで、広間とはカーテンなどで仕切れるつくりになっています。
主な改修は1階に集中しましたが、当面は2階寝室を使用するため、2階にトイレを新設し、屋根と寝室窓の断熱はしっかりと行いました。また、バルコニーに採光屋根を架け、雨天時も安心な洗濯物干場となりました。

  • 改修前    >>>
    収納の乏しい居間は、民芸家具と雑多なものが同居していた。時代を感じさせるインテリアデザイン。

  • 改修後
    耐震壁は飾り棚や額のディスプレースペースとしても重要。ピクチャーレールを天井に埋め込むとスマート。

  • 改修前    >>>
    居間から離れたキッチンは壁に向かう配置で、孤独な炊事作業が夫人のストレスだった。

  • 改修後 Ⅱ列型キッチン
    シンクから斜めに振り向く位置にコンロがあり、使いやすいレイアウトに。既存の東出窓を利用し、内窓との間を乾燥棚として利用。

  • 所有していた重厚な家具に合わせ、濃い茶の木部に、シラス塗壁のインテリア。南向きのキッチンに立つと、広間・リビングヌック・玄関・デスク・階段が視界に収まる。

  • 広間から見たリビングヌック。空間を緩やかに区切る右の縦格子は、耐震壁の役割を持つ。掃出し窓は既存サッシを移設したもので、室内側には木製の2重ガラス内窓を設け、見た目と断熱性の両方を満足した。

  • 洗面室からパントリーを介してキッチンを見る。パントリーは食品に限らず、台所・脱衣所関連の雑多な品々を置き、裏のゴミ置き場に出るための勝手口も兼ねる。

  • 造り付けの洗面台と脇収納。カウンターは手入れのしやすい人工大理石。水栓取付き部分が斜めになっていることで水がシンクに流れ落ち、カウンター上の水浸しを防ぐ。

  • 玄関の収納の工夫。土足のまま使用できるシューズクロークは大活躍。戸を設けず暖簾で目隠ししている。右手に見えるスリッパ収納の低い棚は引き出し式で、階段飾り棚の下に納まるつくり。

  • 段数を増やし緩やかに掛け替えた階段。手すりと段鼻にノンスリップを設けより安全に。シューズクロークと背中合わせの空間を飾り棚に利用しデッドスペースを作らない。

概要

建物概要: 構造:木造 築年数:25年
工事内容: ●1階 10㎡の増築と間取り変更、階段架け替え
      ●2階 トイレ新設、寝室内装替え
      ●床、屋根、1階外壁に断熱、内窓設置
      ●耐震補強
      ●外壁塗装
      ●屋根葺き替え
      ●設備機器一新
      ●バルコニー造り替え
設計期間: 7ヶ月
工  期: 4.5ヶ月
完  成: 2014年

この家づくりに関わったメンバー

設計・監理  : 新井聡・勝見紀子(アトリエ・ヌック)
施  工   : 当麻工務店
コーディネート: NPO 木の家だいすきの会

その他

温熱改修により、厳冬期のリビングの室温(無暖房時)が5℃から15℃に改善。
併せて灯油代は6割減、電気代は25%減と、ヘルシー&エコの見本となる改修となった。

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