60年前の建設時に小さな平屋から始まり、数度の改築を経て約40坪の二階屋に増築された建物です。
家族の仕事の関係で誰も住まない期間が長く、手入れが行き届かない状態でした。
居住を再開するにあたり、耐震性や劣化状況を見るための詳細調査「住宅医既存ドック」を行ったところ、古い時代の脆弱なつくりと増改築時の不備で、基礎をはじめとした床下環境と軸組構造の不具合、天井裏の雨漏り痕がわかり、大がかりな床下の改造と耐震補強改修、屋根の葺き替えが必要となりました。

また、同居の高齢母が少しでも安全に落ち着いて暮らせるつくりにするためと、家での生活が中心となる定年後を快適に暮らすため、使い勝手の良い間取りづくり、収納の充実、温熱改修が同時にリフォームのテーマでした。
庭との関係や外観はそのままに、内部も元の佇まいをなるべく残し、新設部分も以前の造形を踏襲しながら、新しい生活に対応する暖かく暮らしやすい住まいが再生されました。

  • 改修前 南西4.5帖   >>>
    古びて傷んではいるものの、木製のコーナー窓は独特の佇まいで、建て主さんにとっても思い出深い場所。

  • 改修後 南西の4.5帖板の間を母室に。
    コーナー出窓の佇まいはそのままに、ペアガラス入り樹脂内窓を設け断熱。真壁づくりのままの古色柱にシックイの白が映えます。

  • 改修前   >>>
    以前のリフォームで新建材の内装になっていた居間。

  • 改修後 居間
    耐力壁を設けながらも行きどまりの無い回遊動線を計画した。シックイ天井下地板は、吸放湿性・脱臭機能の高いバウビオ(ゾノライト系ケイ酸カルシウム板)張り。飼い猫の臭い対策にも。

  • 南の居間と北のダイニングキッチンに分かれていた間取りを、南北一つながりの空間に。格子状耐力壁により居間と食堂を緩やかに区切りました。

  • キッチン
    機器を取り換え、対面収納で食堂と仕切った。正面は非断エリアの勝手口・納戸につながります。

  • 玄関ポーチ
    階段蹴上を小さくし、手摺を設け、バリアを少なくした。

  • 印象的な格子窓を残し、他は無垢の木使いで一新した玄関
    入り口ドアも幅広に造り替えた。断熱引き戸で部屋と仕切り、風除け室状に独立した空間とした。

  • 北東側から母室近くに配置換えした水廻り。車いす利用と介助を想定したつくり。

  • 大きく造り替えた木製デッキ
    屋根を架け、雨天時にも対応する利用度の高い空間に。物干し場であり、庭を愛する建て主さん親子の憩いの場に。

概要

建物概要: 戸建て住宅、構造:木造、築年数:60年
工事内容: ●1階間取り変更(LDK間仕切り変更、水廻り移動、間仕切りに出入り口新設、バリアフリー化)
      ●基礎及び1階床構造造り替え
      ●耐震補強
      ●温熱のゾーニング改修(屋根、壁、1階床に断熱材、内窓、サッシ交換)
      ●設備機器交換
      ●屋根葺き替え
      ●屋根つきデッキ新設
      ●間取り変更無き部分:内装化粧直し
設計期間: 14ヶ月
工  期: 6ヶ月
完  成: 2015年

この家づくりに関わったメンバー

設計・監理  : 新井聡・勝見紀子(アトリエ・ヌック)
施  工   : 当麻工務店
コーディネート: NPO 木の家だいすきの会

その他

範囲を区切ったゾーニング温熱改修が功を奏し、平成25年基準の外皮平均熱還流率0.87W/㎡Kを下回る性能(0.75W/㎡K)を認め、一次エネルギー消費量も基準をクリアした。

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