だいすきだから、究める。

木の家コラム

【現場監督コラム】断熱リフォームの現場監督の考え

築32年経った鳩山町のM様邸リフォーム工事で、今年1月の下旬からお世話になりました。在来浴室をUBに交換し、隣の洗面脱衣室も断熱材の改修を行う為に床全てと外壁に面する内壁を解体して工事を行う内容でした。
私も木造建築の仕事を始めてかれこれ28年経ちますが、ほとんどの現場で経験値だけで済んだ事がありません。
やっぱり有りました。お風呂の窓です。既存の浴室サッシが入隅に付いてます。外壁を壊さずに施工する事で打合せをしていたので、このままではユニットバスが納まらない。
いろいろと調べてみたところ良い商品が有りました。某メーカー商品のリプラスサッシを連窓(つなげて)して、ユニットバスの壁裏側になる部分はFIX窓に断熱パネルをはめ込み、浴室内部には縦スベリ窓のみが見えてくる納まりで無事に工事が出来ました。

住みながらできる快適性アップ

今年の冬は寒くならないと思って年初頃でしたが、その後雪も降り、ちゃんと寒い日がやってきました。夏は暑く、冬も寒く、日本の家で快適に過ごすためには暑さ寒さの両方に対応しておけると良いですね。一昨年、寒さを改善したいとYさんからご相談頂きました。まだ築5年ほどとのことだったので、一体どれだけのことができるものかと思いながら現地を確認に伺いました。
平屋で面積は広くないものの窓が大きかったり、窓の数も多かったり、
窓自体の断熱性能や、壁・床・天井に施工されている断熱性能がさほど性能が高いものではなかったり…と状況が分かりました。

「木の家」の実力

今年は本当に「暑い」夏でした。40℃に迫る気温も度々で、東~北日本も、もはや「亜熱帯」気候では?という声も聞こえてきます。暑い夏といえば、随分前になりますがタイのバンコクに旅行し、真夏の昼下がり、タイのシルク王・ジムトンプソンの旧住居だった「ジムトンプソンの家・博物館」を訪れました。タイの伝統的建築様式を取り入れたものでしたが、仄暗い室内のひんやりしたチーク材の床の足触り、深い軒から、緑濃い花の美しい庭に複抜ける風の心地良さが、今でも思い出されます。バンコクでもホテルやオフィスなどは、冷房を思い切り効かせて、外とは「別世界」というのが当時の最先端だったようですが、タイの自然と融和した「ジムトンプソンの家」は、都会のオアシス、といった雰囲気でした。風土の違いはありますが、亜熱帯になりつつあるらしい関東周辺でも、住まいには同じような心地良さが求められているのではないでしょうか。

中古住宅の調査診断を誰に頼むか?(ワンストップか、第三者性か)

最近、新築ではなく中古住宅を購入してリノベーションするという人が増えています。よほど状態の良い中古住宅であれば別ですが、購入するとなると、劣化状況や耐震性、断熱性などの性能も気になりますよね。国も、空き家対策や中古住宅の流通を活性化させるため様々な施策を講じていて、2016年には宅地建物取引業法の一部が改正され、専門家による既存住宅状況調査(インスペクションと言います)の活用を促すことが義務化されました。依頼者の意向に応じてインスペクション業者のあっせんの可否を示すという少々ややこしい法律で、インスペクションの実施自体は義務化されませんでしたが、通常の不動産取引の場にインスペクションという言葉が登場することになりました。これまでは、築年数や構造、面積や間取りといった基本的な情報のみで中古住宅を売買していましたが、これからは、中古住宅の劣化状況等も専門家が調査してから売買するという、購入者が安心して良質な中古住宅を選ぶことが出来る仕組みづくりが進められています。

誰にも気兼ねなく楽に暮らせる高齢者の住まい あるケース

将来の体の衰えを見据えての住まいや、老親のための住宅改修など、設計でお手伝いする機会は少なくありませんでした。
高齢者にとって移動を安全にすることと介護が受けやすいこと、関係者にとってはお世話がしやすいことが、新築でもリフォームでも考え方の軸になります。1階だけで生活ができること、段差を無くすことを基本にすることがしばしばなのですが…。ここで紹介するのは、86歳と82歳の高齢夫婦、筆者の父母の住まいについてです。
現在、二人が暮らす築22年30坪弱の住宅は、元々次女夫妻が建てた家です。次女夫妻が家を建てて10年が経過した頃、3人の子供たちが大きくなり何かと手狭であるとの話が持ち上がり、父母が住む向かいの45坪住宅と入れ替わり引越しを行っていました。次女夫妻が建てた家30坪住宅は、スキップフロアのつくりで、道路レベルの駐車場階、半階上がってメインフロア、また半階上がって寝室・収納・トイレ、さらに半階上がって子供部屋フロアの構成です。家の内外に4つの階段があり、小上がりまであるという、言ってみればアップダウンの多い家です。父母がここに住み始めた年齢は74歳と70歳。リタイヤしてまだ数年で体の衰えはみられず、二人それぞれの趣味や孫たちのサポートに忙しくしていた頃でした。

窓の設計と、快適な室内環境の関係

窓のデザインは建物の外観デザインのみではなく内部からの見えがかりや室内環境にも大きな影響があります。お笑い芸人二人組が某ハウスメーカーの○○ホームの建物はUA値最高だからすごい、という宣伝を行っています。でも本当にそれだけでいいのでしょうか?実はこれだけでは大きな落とし穴があります。確かにUA値性能を良くすれば建物から逃げていく熱は減ります。ではどこから一番熱が逃げていくのでしょうか?それは窓です。窓の大きさを小さくしていけば逃げていく熱の量は減りUA値は良くなっていきます。ここでちょっと考えてみましょう。窓を無くしたら・・・・・・そうですUA値はさらに良くなります。おやおや、この二人何を言ってるだ!窓を小さくしていけばいいのかよ!!となりませんか?本当の目的は、快適な室内環境を創るためには窓の大きさや配置、さらにガラスの性能と選択をどのようにしたらよいか?となります。快適な室内環境を創る為には夏は日射を入れないように、冬には日射を取り込むような窓の設計が重要です。この二つ日射の「遮蔽」と「取得」をバランスよく設計した建物が快適な室内環境の良い設計です。専門的にはηAC、ηAHであらわされる数値です。(η=イーター 日射の取得と遮蔽を表す数値)日本は冬の太陽日射が豊かな国です(特に太平洋側)、大きな窓が南側に開いていて太陽の暖かさを取り入れます。夏は窓外には外付けブラインドやシェードを取り付けて日射を遮ります。UA値の数値だけを良くしても快適な室内環境は生まれなく、UA値は良いはずなのに冬は寒く快適ではない家があります。そこで私どもの事務所では数年前から全棟UA値の他にηAC、ηAHの検証をし、数値化して確認しながら夏は涼しく冬はぽかぽかあたたかい快適な室内環境の為に、窓の大きさやガラスの性能、さらに方向や高さの検証をしつつ、周辺建物の影響も検証しながらバランスのよい快適な室内環境の設計をしています。このコラムが皆さんに届くころには完成する、それぞれに役割を持った窓の写真を何点かご紹介します。

住まいの温熱設計

正式なカウントの方法は定まっていないようですがヒートショックで亡くなる人は交通事故の約4倍とのデータがあります。
交通事故は交番などに表示が出ていることも多いので目にする方もいらっしゃるでしょう。
しかしヒートショックで亡くなる方の人数は各市町村の庁舎や町役場で目にすることはありませんし、交通事故死はニュースになりますがヒートショック死はニュース見たことがありません。最新の交通事故死者は年間2839人(2020年)一日に直すと7.8人/日になりますが、この4倍は31人/日という数字になりますので、一時間に一人以上の方が毎日亡くなられているということになります。
この数字にもう少し目を向けることが必要ではないかと感じています。 

家に温かさは

11月にはいり 暖房が必要な季節になりました。
全国1229人にアンケート「戸建て住宅の熱環境について」という記事で、断熱性能の低い家に住んでいる人の意見が載っていました。
「冬にお風呂に入るのが苦痛だ」「起床時にすぐに暖房をつける」「寒くて使えない 使いたくない部屋やスペースがある」「寒くて洗濯をするのが億劫だ」「掃除をする気になれない」「料理をするのが億劫だ」
寒い家に住むと家事もしたくないし不活性になるようです。さらに築40年の寒いアパートに住んでいた私の経験から加えると、「トイレが寒すぎて行くのを我慢する」「結露でサッシの枠はホコリとカビで黒ずむ」「風呂は修行の場」「布団からでるのに30分は要する」 

冬の寒さ対策

 1月、2月と寒さが厳しくなっていくと、断熱材をしっかり入れているお宅でも暖房器具は欠かせません。
床暖房や薪ストーブなど、暖房器具自体が発熱する暖房の方がじんわりと温かさが持続してよいのですが、実際に設置されているのはエアコンのみというお宅も少なくないと思います。
エアコンは温度設定も自由ですし、すぐに温風が出るので温風の吹く場所にいれば温かいですが、部屋全体を均質に温めるのは不得意です。そこで、サーキュレーターを1台置いてみてはいかがでしょう。
サーキュレーターは部屋の中心に天井に向けて上向き、またはエアコンと対角線方向の位置に置きエアコンに向けて斜め上方向に向けてみてください。
上部に溜まった温かい空気が攪拌されて温度ムラがだいぶ緩和されます。
事務所は約8帖プラス廊下部分というような部屋ですが、サーキュレーターを回している方が同じ温度でも温かく感じます。

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