だいすきだから、究める。

木の家コラム

「木の家」の実力

今年は本当に「暑い」夏でした。40℃に迫る気温も度々で、東~北日本も、もはや「亜熱帯」気候では?という声も聞こえてきます。暑い夏といえば、随分前になりますがタイのバンコクに旅行し、真夏の昼下がり、タイのシルク王・ジムトンプソンの旧住居だった「ジムトンプソンの家・博物館」を訪れました。タイの伝統的建築様式を取り入れたものでしたが、仄暗い室内のひんやりしたチーク材の床の足触り、深い軒から、緑濃い花の美しい庭に複抜ける風の心地良さが、今でも思い出されます。バンコクでもホテルやオフィスなどは、冷房を思い切り効かせて、外とは「別世界」というのが当時の最先端だったようですが、タイの自然と融和した「ジムトンプソンの家」は、都会のオアシス、といった雰囲気でした。風土の違いはありますが、亜熱帯になりつつあるらしい関東周辺でも、住まいには同じような心地良さが求められているのではないでしょうか。

不便益という言葉があるのをご存じですか?

京都大学の川上教授という方が「不便だからこそ得られるものもある」と、「不便益」(造語)という考え方を提唱しています。数年前から唱えているそうですが、僕が知ったのは少し前です。 実のところ、言葉以外に深くは知らないのですが、家を設計する際にとても気になっていた「便利さ」。なぜかというと、暮らしに便利さばかりを求める建て主さんに出会ったことがありまして、話を進めていくにつれ、どんどんモチベーションが下がっている自分に気付きました。僕は本来、暮らしに便利さはあまり求めませんし、暮らす家はちょいと田舎で、最寄り駅から歩くこと20分ほどのところにあります。あと5分近ければ楽だなあ?・・とは思いますが、駅近に住みたいとも都会に住みたいとも思ったことはありません。かつて、8年間ほど実家の「離れ」で暮らしていました。こども部屋は母屋の2階にあるため、部屋に行くには離れの2階のベランダ経由で母屋に渡ります。寒くても、一瞬外へ出なければなりませんので、天候によってはちょっと濡れたりすることもありますが、それはそれで子供たちも楽しかったようです。 また、薪ストーブもありましたが、実は全く便利なものではありません。
薪の確保や着火、灰の処分やメンテナンスなど、かなり面倒なものです。大きな堀座卓は、立つ、座るが面倒なうえ穴の掃除も意外と大変です。

窓の設計と、快適な室内環境の関係

窓のデザインは建物の外観デザインのみではなく内部からの見えがかりや室内環境にも大きな影響があります。お笑い芸人二人組が某ハウスメーカーの○○ホームの建物はUA値最高だからすごい、という宣伝を行っています。でも本当にそれだけでいいのでしょうか?実はこれだけでは大きな落とし穴があります。確かにUA値性能を良くすれば建物から逃げていく熱は減ります。ではどこから一番熱が逃げていくのでしょうか?それは窓です。窓の大きさを小さくしていけば逃げていく熱の量は減りUA値は良くなっていきます。ここでちょっと考えてみましょう。窓を無くしたら・・・・・・そうですUA値はさらに良くなります。おやおや、この二人何を言ってるだ!窓を小さくしていけばいいのかよ!!となりませんか?本当の目的は、快適な室内環境を創るためには窓の大きさや配置、さらにガラスの性能と選択をどのようにしたらよいか?となります。快適な室内環境を創る為には夏は日射を入れないように、冬には日射を取り込むような窓の設計が重要です。この二つ日射の「遮蔽」と「取得」をバランスよく設計した建物が快適な室内環境の良い設計です。専門的にはηAC、ηAHであらわされる数値です。(η=イーター 日射の取得と遮蔽を表す数値)日本は冬の太陽日射が豊かな国です(特に太平洋側)、大きな窓が南側に開いていて太陽の暖かさを取り入れます。夏は窓外には外付けブラインドやシェードを取り付けて日射を遮ります。UA値の数値だけを良くしても快適な室内環境は生まれなく、UA値は良いはずなのに冬は寒く快適ではない家があります。そこで私どもの事務所では数年前から全棟UA値の他にηAC、ηAHの検証をし、数値化して確認しながら夏は涼しく冬はぽかぽかあたたかい快適な室内環境の為に、窓の大きさやガラスの性能、さらに方向や高さの検証をしつつ、周辺建物の影響も検証しながらバランスのよい快適な室内環境の設計をしています。このコラムが皆さんに届くころには完成する、それぞれに役割を持った窓の写真を何点かご紹介します。

なぜ「伐採からはじめる家づくり」なのか

新築、リノベーションに関わらず、私たちがお勧めしているのは、「伐採見学からはじめる家づくり」です。
伐採見学会では、先人たちが50年60年以上かけて大切に育ててきた木の命をいただき、大黒柱や梁、床板などに利用される木が伐採されるのを見学します。澄んだ空気の森の中で、何十年もかけて大きくなった木が倒れる時の体の芯まで響く音と振動は、何とも言えず厳かな気持ちにさせてくれます。
立木は伐採されて命を絶たれますが、製材され大工さんによって家の中で第2の命を吹き込まれ、住まい手を見守ります。そんな過程を見て感じていただく。―それは、単に「家を買う」では味わえないことです。

茶室のある家をつくります

現在、茶室のある家の建築が始まり、設計時に茶室について改めて調べてみましたので、簡単ではありますが、茶室の文化について簡単にまとめてみました。
これから造られる茶室は、スタート時点から「由緒正しい茶室」という要望ではなかったので威張って茶室と云えるものではないかもしれませんが、住まいに茶室、又はお茶をたしなむ炉などがあるといいものです。 

お家の耐震性能について

2016年に、熊本県で震度6強から7の大規模な地震が起こりました。
建築基準法の耐震基準では、中規模の地震(震度5強程度)でほとんど損傷しないこと。大規模の地震(震度6強~7程度)で倒壊・崩壊しないことが求められており、これは大地震でも命を守るための最低限度の基準といえます。
熊本地震以降も震度5以上の地震は各地で発生しており、今後も中規模以上の地震が起きることが予想されています。

シニア世代の住まいづくり

シニア世代の住まいづくりには、仕事や子育てに追われる若い世代とはまた違った課題があります。子供の独立や、親の(時には配偶者の)見送りによる家族の減少、仕事からのリタイアによる生活パターンの変化、自分自身の体力の低下、いずれ訪れる要介護生活への準備、などで、それも人により事情は様々です。
そんな中でも、変化を前向きに受け入れて、新築、リフォーム、どちらの場合でも、今までの生活を見つめ直し、少しゆっくりとした毎日を楽しめる住まいを作っていきたいものです。

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