だいすきだから、究める。

木の家コラム

住まいの温熱設計

正式なカウントの方法は定まっていないようですがヒートショックで亡くなる人は交通事故の約4倍とのデータがあります。
交通事故は交番などに表示が出ていることも多いので目にする方もいらっしゃるでしょう。
しかしヒートショックで亡くなる方の人数は各市町村の庁舎や町役場で目にすることはありませんし、交通事故死はニュースになりますがヒートショック死はニュース見たことがありません。最新の交通事故死者は年間2839人(2020年)一日に直すと7.8人/日になりますが、この4倍は31人/日という数字になりますので、一時間に一人以上の方が毎日亡くなられているということになります。
この数字にもう少し目を向けることが必要ではないかと感じています。 

家に温かさは

11月にはいり 暖房が必要な季節になりました。
全国1229人にアンケート「戸建て住宅の熱環境について」という記事で、断熱性能の低い家に住んでいる人の意見が載っていました。
「冬にお風呂に入るのが苦痛だ」「起床時にすぐに暖房をつける」「寒くて使えない 使いたくない部屋やスペースがある」「寒くて洗濯をするのが億劫だ」「掃除をする気になれない」「料理をするのが億劫だ」
寒い家に住むと家事もしたくないし不活性になるようです。さらに築40年の寒いアパートに住んでいた私の経験から加えると、「トイレが寒すぎて行くのを我慢する」「結露でサッシの枠はホコリとカビで黒ずむ」「風呂は修行の場」「布団からでるのに30分は要する」 

冬の寒さ対策

 1月、2月と寒さが厳しくなっていくと、断熱材をしっかり入れているお宅でも暖房器具は欠かせません。
床暖房や薪ストーブなど、暖房器具自体が発熱する暖房の方がじんわりと温かさが持続してよいのですが、実際に設置されているのはエアコンのみというお宅も少なくないと思います。
エアコンは温度設定も自由ですし、すぐに温風が出るので温風の吹く場所にいれば温かいですが、部屋全体を均質に温めるのは不得意です。そこで、サーキュレーターを1台置いてみてはいかがでしょう。
サーキュレーターは部屋の中心に天井に向けて上向き、またはエアコンと対角線方向の位置に置きエアコンに向けて斜め上方向に向けてみてください。
上部に溜まった温かい空気が攪拌されて温度ムラがだいぶ緩和されます。
事務所は約8帖プラス廊下部分というような部屋ですが、サーキュレーターを回している方が同じ温度でも温かく感じます。

「健康な住まい」に思いをはせる

 ベネチアは、中央の大きく蛇行する大運河と路地のような無数の運河がおりなす「水の都」です。ベネチアの特徴をなす運河ですが、運河を管理する行政官は特別な職種で、就任式が18世紀までつづくベネチア共和国の元首によって取り行われました。
その際には「この者の功績を讃えよ、それに相応しい報酬を与えよ、しかし、この地位にふさわしくないとなったら絞首刑に処せ。」と宣言されました。
運河の管理がベネチアの生命線ともいえる重要な仕事であったためです。一見、計画がないように見える運河のかたちは一貫した原理によってつくられていたのです。
それは、恐ろしい伝染病を防ぐため、川の流れと潮の満ち引きを利用して、自然をとりこみながら水が滞留して腐らないよう、常に水の流れをつくりだすよう計画され、改善されてきました。交通手段として使うというのは二次的な目的で、「健康」な街をつくるというのが、ベネチアの都市づくりの原理で、その結果として現在のようなヒューマンスケールの魅力ある街ができたのです。

設計者の目 木の家あったかリフォーム
-シニアにお勧めしたい、カラダにやさしい住まいの改修ー

 今冬の寒さもピークは越えたものの、まだまだ暖房フル稼働の日が続きそうです。
そんな中、リフォーム後初めての冬を迎えているYさん宅にお邪魔する機会がありました。
お子さん達が独立されて夫婦二人暮らしのYさん宅は築25年。老後を見据えたセカンドライフのためリフォームを行うに当たり、重点を置いたことの一つが建物の断熱化でした。伺った際にYさんは「厳寒期早朝の温度記録」と題した一枚の紙を示してくれました。
12月から1月にかけての約1か月間、Yさんは起床後の無暖房状態の室温を毎日記録されていて、その結果をまとめたものでした。それによると1階の居間と2階寝室で、いづれも外気温より13~16度高く、居間では平均室温が15度を上回ったという結果でした。
一日で最も気温の下がる早朝、暖房を運転する前の測定です。
リフォーム前は同じ時期で5度程度と記憶しているとのことですから、断熱により実に10度の室温の下降を防いだことになります。

怖い内部結露を防ぐには

 水蒸気は、私たちが息をしている空気の中にごく普通に含まれていて、水とは比べ物にならないくらい細かいため、建材の中にも容易に浸透していきます。
建材のなかに浸透していきながら一定の温度(露点温度といいます)以下に触れると水に変化 ( つまり結露 ) します。ガラスのように水蒸気を通さない建材では表面に結露します。
外壁近くに合板のような水蒸気を通しにくい材料を張っていると、建物内部から外に向かって流れる水蒸気は合板でせきとめられ、露点温度以下に達すると結露することになります。これが内部結露で、建物の腐朽を早める恐ろしい現象です。
実は、断熱性・気密性を高めた冬暖かい家にすると結露の危険性が高まってします。
したがって、断熱性・気密性を高めた場合には、あわせて結露対策をしっかりやっておくことが必要となります。現在、国土交通省では、水蒸気が壁体内に入らないよう防湿気密シートをはるよう推奨し、その講習を全国的に進めています。
木の家だいすきの会では、木の家の気持ちよさの源泉は吸放湿性にあると考え、それを阻害しないよう、何とか防湿気密シートを張らない防露工法の開発を進めてきました。 ここで紹介する木の家は、断熱材は自然系のセルロースファイバーを採用した上、より水蒸気を通しやすい建材を外側に採用し、さらに通気層を確保することで、内部結露を防止しています。
温熱環境設計の一環として結露チェックも実施しましたが、設計通り結露が発生しないかどうか確認するため、壁の中に温湿度センサーを埋め込み、工学院大学建築学部中島研究室に依頼して 1 年間計測していることろです。今回、計測データの中間報告がまとまってきましたが、内部結露の発生は見られず、防露設計の有効性が確認されました。

「合板を使わない」というこだわり

 2013 年 3 月 11 日の東日本を襲った巨大地震と大津波によって合板工場が大打撃を受け、日本全国の全ての住宅建設が影響を受けることになりました。
「合板を使わない住宅は皆無である」と言ってよいほど、合板は日本の住宅建設に必要不可欠なものになっています。こうしたなか、木の家だいすきの会では、かねがね “合板を使わない” 工法を探ってきました。その理由はいくつかあります。数年前に挑戦した時は、お子さんのアトピーなどを気にする建て主向けに、「化学物質である接着剤を排除して自然素材のみで家をつくる」という目的が主たるものでした。
また、長寿命の住宅が社会的な課題になるなかで、70 度以上にも達する屋根の厳しい温熱環境や床下の湿気に合板の接着剤が果たして長期間耐えうるものなのだろうか、という懸念も工務店の声として上がっていました。 

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