だいすきだから、究める。

木の家コラム

健康空間を生み出す木の特性

コンクリートの飼育箱で飼われたマウスは生長程度が貧弱でかつ短命であり、産まれた子供を噛み殺すといったショッキングな報告があります。
人の場合はそのような激しい症状は起こさないと思われますが、学校における荒んだ子どもたち・校内暴力の背景に、校舎の殺伐とした物理的環境を懸念する声も聞かれます。
そこで、学校における子どもや教師の疲労の様子を鉄筋コンクリート造校舎と木造校舎について比較すると、両者の間に違いのあることが分かります。 図 8 は授業中の子どもの疲労症状を見ています。鉄筋コンクリート造校舎の子ども達は木造校舎に比して眠気やだるさを覚え、注意集中の困難な傾向がより多く見られています。
また、鉄筋コンクリート造校舎では保健室逃避と見られる曖昧な理由での保健室利用が目立っています。

お米と木材、乾燥の大切さは同じ

収穫したてのお米は約 20% の水分を含んでいます。水分が多いとカビなどの原因になるため、乾燥させて約 15%に落とすことが必要ですが、現在は火力を使った機械乾燥が普通です。
かっては稲架(はさ)と呼ばれる横木につるし天日で乾かしており、味がよくなると言われていることから現在でも天日乾燥にこだわる生産者がいます。実際、「炊飯品質では、天日干しは熱風乾燥より食味スコア等の5 項目において品質指標が向上する傾向を示した」と学会報告もあります。

設計者の目
巾はぎ板でつくる家具・造作
無垢使いの可能性を広げた「巾はぎ板」

 巾はぎ板とは集成材の一種で、木材を貼り合わせることで大きな面にした板材です。
一般的な集成材は、小さなブロック片をたて・よこ両方向につなぎ合わせるのに対し、巾はぎ材は 10 ~ 20cm巾の広めの材を、横方向にだけはいだものです。一枚のはぎ板が大きいので、自然な木目が感じられ、より無垢板に近い印象があります。はぐ部分が少ないため、接着剤の使用も抑えられています。無垢板で家具を造る際、巾の広い一枚ものの板を使うのは魅力的ですが、樹齢のいった大木からしか取れないため、量が少なく高価です。
手に入った場合も、巾が広いほど反りや捻じれが強いため、時間をかけた乾燥やクセを抑える加工が必要で、簡単には扱えないのが実情です。巾はぎ材は、柱を取ったあとの端材や、小径木や間伐材などからつくることができ、資源の有効利用になっていること、木表・木裏を交互にはいで反りや捻じれを軽減してあること、必要な長さや巾で製作できるなど、使用しやすい工夫がなされている板材なのです。

設計者の目   匠の技

 匠の技でよくお話がでることに、木と木のつなぎ方の話があります。
木のつなぎ方は、長手方向に長さを延長させるつなぎ方を継手(つぎて)
と呼び、角度を持って 90°などにつなぐつなぎ方を仕口(しぐち)と言います。
通常つなぎ方が複雑になればなるほど力を伝えることが出来やすくなります。
必然的に手間がかかる加工になるため、力がかかるところとそうでないとこ
ろを見極めて加工の方法を決めていきます

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