だいすきだから、究める。

木の家コラム

不便益という言葉があるのをご存じですか?

京都大学の川上教授という方が「不便だからこそ得られるものもある」と、「不便益」(造語)という考え方を提唱しています。数年前から唱えているそうですが、僕が知ったのは少し前です。 実のところ、言葉以外に深くは知らないのですが、家を設計する際にとても気になっていた「便利さ」。なぜかというと、暮らしに便利さばかりを求める建て主さんに出会ったことがありまして、話を進めていくにつれ、どんどんモチベーションが下がっている自分に気付きました。僕は本来、暮らしに便利さはあまり求めませんし、暮らす家はちょいと田舎で、最寄り駅から歩くこと20分ほどのところにあります。あと5分近ければ楽だなあ?・・とは思いますが、駅近に住みたいとも都会に住みたいとも思ったことはありません。かつて、8年間ほど実家の「離れ」で暮らしていました。こども部屋は母屋の2階にあるため、部屋に行くには離れの2階のベランダ経由で母屋に渡ります。寒くても、一瞬外へ出なければなりませんので、天候によってはちょっと濡れたりすることもありますが、それはそれで子供たちも楽しかったようです。 また、薪ストーブもありましたが、実は全く便利なものではありません。
薪の確保や着火、灰の処分やメンテナンスなど、かなり面倒なものです。大きな堀座卓は、立つ、座るが面倒なうえ穴の掃除も意外と大変です。

茶室のある家をつくります

現在、茶室のある家の建築が始まり、設計時に茶室について改めて調べてみましたので、簡単ではありますが、茶室の文化について簡単にまとめてみました。
これから造られる茶室は、スタート時点から「由緒正しい茶室」という要望ではなかったので威張って茶室と云えるものではないかもしれませんが、住まいに茶室、又はお茶をたしなむ炉などがあるといいものです。 

地域の森の木を使って公共施設をつくろう

私の事務所があるのは、地元である埼玉県飯能市。
面積の約75%もの山林を持ち、江戸時代より「西川材」と呼ばれた木材の産地です。
私の家系は、山や林業に携わっている人はいませんが、せっかく地元が産地なのだから西川材の木の家を推奨しています。
建て主さんや建築地によっては、ときがわの木や、多摩の木を使うこともあります。 木の産地ですから、地元の公共建築物には「西川材」を利用するのが自然な流れですね・・・
コウ設計工房でも、時々小さな公共建物の設計を受け持つことがあります。以前、市の担当職員さんと、入札方式ではなく、プロポーザル方式で発注するのは難しいですか?・・とお話したことがありました。(簡単に説明すると、入札方式とは、設計金額を入札する中で金額により決まり、プロポーザル方式とは、企画提案を選ぶことで、設計者を決めます)
しかしながら、「設計者を決めるまでのプロセスや選定基準などが難しいなあ・・」ということで、今でも入札方式で決まるのが常です。 設計説明書では、「出来る限り西川材を活用した提案を行うこと」と書かれているのですが、我々のような地元の設計事務所が落札するとも限りません。地域材を生かした設計をしたくても、金額提示がうまくいかないと提案すらできないのです。公共施設の設計に手慣れた事務所は、役所が設計費としていくらくらいを想定しているかの見当を付け、最低金額を割らない、ちょうどいい塩梅で入札してきますので、コウ設計工房が受注できるのは、運しかありません。(経験値が低いのですね・・)公共工事の設計費は悪くないので、受注したい案件の場合など、比較的安い金額で入札したりしますが、最低金額より下回る金額だった場合に何度も失格になったことがあります。 数年前に受注した、駅前広場のトイレと山間部の小学校に隣接した学童保育施設では、構造材、内装材共に西川材を生かして実現できました。しかし、市外の設計事務所が設計を担当し、木に対して意識の低い工事会社が受注すると、西川材は少ししか使われないようです。
材木業者さんも嘆いていますが、何もできません。
木を生かす設計者、工事業者、役所の職員と協力してできる体制が出来ればこんなことにはならないのに、癒着だの談合だの騒ぐ人もいるから難しいんですね。

茶室のある家ができました

前回の私のコラムは「茶室のある家をつくります」というタイトルでしたので、今回はその茶室を写真で紹介いたします。設計時には、「由緒正しい茶室」という要望ではなかったのですが、だんだん本格的になり、京間にしたので、関東の4畳半よりも少し広く、いい茶室になりました。基本的なデザインは設計者が行いましたが、実のところ私よりも大工さんが茶室にとても詳しくて、いろいろと勉強になりました。

設計者の目  
パッシブソーラーを取り入れた木の家

 1月26日、地元飯能駅から徒歩7分程度の好立地に、延べ27坪程度の空気集熱式のソーラーシステムを装備したパッシブソーラーハウスの見学会を開催させてもらいました。
最近は、完成見学会を開催しても参加者が少なく、なかなか木の家の良さをピーアールできませんが、今回は久しぶりに賑やかな見学会となりました。このパッシブソーラーシステム「そよ風」の概要を少し紹介します。
太陽熱や夜間の放射冷却を利用して屋外の新鮮空気を暖めたり冷やしたりして室内に空気を導入することによって朝夕の温度差を少なくし、冬は暖かく、夏は涼しい快適空間をつくるシステムです。